ランニング時の衝撃吸収は足底が鍵!
3つの足のアーチ構造を崩れさせない方法とトレーニング

 

1分でわかる「アーチ構造」

✔️アーチ構造とは人間が生まれながらにして兼ね備えた衝撃吸収システムである

✔️足底にはアーチ構造が3つあり、それらが相互に働くことによって上手に立つことができる

✔️踵、親指の付け根、小指の付け根はアーチを作る上で重要な荷重点である

✔️綺麗なアーチ構造を持っているのは人間だけである

✔️アーチ構造を保つのは様々な筋や靭帯であるが、その中でも特に足底腱膜が重要な役目を果たしている

✔️アーチ構造が崩れてしまうと様々な怪我につながる

✔️アーチ構造を維持するために足底の筋を上手に使うようなトレーニングは積極的に取り入れよう

 

アーチ構造とは?

足の「アーチ構造」とは足底にあるドーム状の構造のことを言います。外から見て分かるアーチとわからないアーチがありますが、筋や脂肪といった軟部組織を全て剥がして骨だけにしてみると、人間の足底にはアーチ状になっている骨構造が3種類あることが分かります。

外から見ても分かるアーチ構造といえば土踏まず。

扁平足(へんぺいそく)など少し特殊なケースもありますが、足の裏に墨を塗ってペタッと足型を取ると地面に足が着いてない部分があるのが分かりますよね。親指の付け根からかかとの方向に向かって内側にできるアーチなので、「内側縦アーチ」と呼んでいます。足が疲れたぁ〜といって無意識にこの部分も自分でグイグイ押している方もいると思いますが、それは大正解。アーチは常にその形を保っているわけではなく、歩いたり立ったりする中で潰れたり元に戻ったりを繰り返しています。

また、外観上からは分かりにくいのですが足の外側にも内側よりやや低めのアーチが形成されています。小指側からかかとに向かって縦に走るこのアーチは「外側縦アーチ」と呼ばれます。
実際に足の小指側に沿って触ってみるとなんとなく凹んでいる感じが分かると思いますし、1日の終わりにここをぐいっと押すと痛みやコリ固まった感じが分かると思います。この外側縦アーチも非常に大切な役割を果たしています

そして足を前方から見ると横に広がる「横アーチ」があることが分かります。これも視覚的にわかるというよりも実際に自分自身の足を触ってみたほうがよく分かりますね。外側縦アーチよりも触った感じは分かりやすいと思います。足の小指と親指をぎゅっと握ると足の裏に深いシワができますが、横アーチがある証拠です。

これら3つのアーチ構造は、地面に足が接地し荷重が加わった瞬間に地面からの衝撃を吸収し、体への負担を軽減してくれるクッションの役割を担っています。
前後方向、左右方向、そして垂直方向にかかる様々な衝撃を上手に緩衝してくれます。そしてこの骨同士はたくさんの靭帯や筋で保持されていて、その中でも特にアーチを維持するために重要な役割を果たしているのが「足底腱膜」です。痛みが出やすいところでもあるので、この足底腱膜は要注意ですね。詳しくは足底腱膜炎に関する記事をご覧ください。

【足のアーチ構造】

 

アーチ構造を作る足底の3つの荷重点

人間は足底で体重を支えていると説明してきましたが、足底の中でも特に荷重がかかるポイントがあります。それは親指の付け根、小指の付け根、そしてかかとの3点。
内側/外側/横アーチをよく見てみると、全てこの3点をつなぐようにしてできています。デコボコした道を歩くような場合には、この3つの荷重点にかかる負荷の割合を器用に変えるので、人間はバランスを保って上手に歩くことができます。

【3つの加重点】

では、この3点にはどのような荷重がかかるのでしょうか?

通常の歩行や一般的なランニングの場合、かかとから地面に着地します。その後足底全体に体重が乗ってつま先から抜けていくのですが、その際にこの3点にかかる荷重割合は徐々に変わっていきます。

地面に着いた瞬間は踵に体重をガツンと受け止めます。そのため、踵の骨は石ころのように固まり状になっていて強圧に耐えられるように骨の構造も進化してきました。その後踵にかかっていた体重は小指の付け根と親指の付け根に分散され、足底全体が地面に着いた時には3点に荷重が分散されるようになります。坂を歩いていたり、山道のような凸凹道を歩いていれば足底はまっすぐ地面につかないので、3つのアーチの潰れ具合が変わって3点の荷重割合がその都度変わっていきます。

親指の付け根や小指の付け根の皮膚が硬くなってタコや魚の目のようになってしまうのは荷重が特に強くかかっている証拠です。活動量によってタコや魚の目ができるのは仕方がない部分もありますが、あまりにも大きなタコや魚の目ができたり、普通はできないようなところに出きている場合は、足の裏を上手に使えていないことになります。自分の足の指がしっかり使えるようにしていくことも大切ですし、今一度自分の足底を見つめ直していてください。

 

人間が器用に歩けるのはアーチ構造のおかげ!?

直立二足歩行をするのは人間の大きな特徴です。直立二足歩行が可能になったことで、重い脳も支えられるようになったため、人間の知能が発達したと言われています(ちなみに、腰痛が起きやすくなったというマイナス面もあります)。人間以外に二足歩行をする動物はいますが、人間とは少し動きが違いますよね。大きな違いは動きの巧みさにあります。人間よりも速く走ったり、高く飛んだりする生き物はいますが、人間のように器用に様々な動きができる生き物は他にはいません。人間以外の生き物はスポーツなんてしませんし、こういった器用な動きができているのも、アーチ構造のおかげです。

せっかくなので、人間と他の動物のアーチを比べてみましょう。

【オラウータン】

オラウータン

オラウータンも二足歩行は行いますが、完全な二足歩行というわけではなく、腕を補助にして四足歩行とのハイブリッド型といったところでしょうか。時々二足で立ち上がる瞬間がありますが、足のアーチ構造が人間ほど発達していないので、体にかかる荷重を膝や股関節をクッションのように使って立ち上がります。人間ほど巧みな身のこなしはオラウータンにはできず、それはアーチ構造の不十分さが原因になっていると考えられます。

【犬】

犬

4足歩行の犬の場合はというと、アーチ構造はありません。4足で体を支えるので十分安定するということですね。しかも、人間でいうところのつま先歩きのような状態で体を支えています。アーチ構造がなくても、膝や股関節、そして指の関節で衝撃を吸収しているということでしょう。人間に比べると犬は指の関節の力が強いと言えます。人間よりも優れた疾走能力を持っていますが、同様に人間のような器用な動きとは少し違います。

 

アーチ構造が崩れる!?

人間が他の動物と大きく異なるところがもう一つ。それは靴を履くことです。足袋やわらじといったものであれば、地面の衝撃から足を保護することが主な目的となるため、アーチ機能が大きく低下することはありませんでしたが、科学技術の発展により足の保護だけでなく、活動しやすいようにシューズが発展した結果、アーチ機能が100%働いていなくてもシューズが補ってくれるようになりました。その結果、次第に人間はアーチ機能を低下させていったといっても決して極端な話ではありません。

もちろん靴を履く全ての人のアーチが崩れているというわけではありませんし、それだけが原因とも言えません。
こういったアーチ構造を崩す原因は

・運動不足
・過度のスポーツによるストレス
・間違った靴選び(サイズが合わない靴)
・肥満
・妊娠
・老化
・病気やケガ、遺伝(靭帯のゆるさほか)‥‥‥

など色々と言われているので、足のトラブルが起こった場合に、アーチが正常に働いているかどうか?崩れていないかどうか?を見ることは非常に重要でしょう。
ちなみに、「崩れる」というのは「下がる」ことを指すことが多いですが、ハイアーチのように「上がる」こともあります。その点ご注意ください。

 

アーチ構造の崩れを改善させるためのトレーニング

上述したように、アーチ構造は足のクッションのような役目を果たしているので、アーチの崩れは様々なトラブルを招くと言われています。

主なものだけでも扁平足(へんぺいそく)、開張足(かいちょうそく)、中足骨頭部痛(ちゅうそくこっとうぶつう)、中足骨疲労骨折足底筋膜炎(足底腱膜炎)(そくていきんまくえん)、モートン病、外反母趾(がいはんぼし)、魚の目、たこ、足が疲れやすいなどなど。
ここでそれぞれの症状の解説は割愛しますが、アーチが足のトラブルに大きく関わっていることは間違いないでしょう。アーチを正常な状態に保つためには、様々な運動が推奨されますが、詳しくはこちらをご覧になってください。

【足指のストレッチ】

【足底腱膜のコンプレッションストレッチ】

アーチ構造についてのまとめ

人間が持つアーチ構造は非常に優れたものです。その反面、生活習慣や運動習慣によって正常なアーチ構造が崩れてしまうと様々なトラブルが起きます。十分に気をつけなければいけませんね。

もともと日本には”青竹踏み”という健康習慣がありました。半円状になった青竹を踏んでアーチを刺激するというものですが、とても理にかなっています。裸足で生活するとうことは現実的ではありませんが、足底をケアして正常なアーチ機能を取り戻すことは健康につながる可能性が大いにあります。地面と唯一接している場所なだけに、是非注目してみてください。

May 16, 2019/怪我・故障/