ランニングの基礎は姿勢にあり!不良姿勢とその修正のためのトレーニング

ランニングにおいて「フォームチェック」と同様に大切なことが「姿勢チェック」です。正しく走るためには正しく歩ける必要がありますし、さらにいうと正しく立ったり座ったりすることができなくてはいけません。まぁ、言われれば当たり前ですよね。。。

ところが、そういった基礎基本をすっ飛ばしてフォームを気にするケースが実は多く、姿勢(特に普段の姿勢)なんて気にしないという方は少なくありません。スマホの普及で歩きながら画面を覗き込むような人は一昔前に比べてかなり多くなりましたし、パソコンの普及も姿勢に影響を及ぼしていることは否めません。

姿勢というと非常に基本的なことに感じますが、大事なことです。今回はそんな「姿勢」について理解を深めていきましょう。

 

正しい姿勢とは?

そもそも正しい姿勢とはどういった姿勢でしょうか?

人間の骨は重力に対して抵抗するような形で発達します。木の枝は成長する過程でねじれながら上に伸びていきますよね。人間の骨も一緒で、真っ直ぐストレートな骨というのはほぼ無く、ねじれたり曲がったりしながら発達していきます。一本一本の骨で見ると、ねじれていますがその骨に筋がつき、関節を介して骨同士が連結されていくと、最終的にバランスが取れたひとつの「体」として構成されていきます。

正しい姿勢とはこのような絶妙なバランスの中で成り立っています。したがって、 人間の体を「かたまり」ではなく「つながり」として捉え、動くことを前提に正しい姿勢を考える必要があります。

ところが、この絶妙な体も どこかの筋が極端に機能低下していたり、硬くなったりしてバランスが崩れていると体全体の均整が保てなくなってしまいます。これが姿勢の崩れ、つまり「不良姿勢」です。不良姿勢はケガにつながるのはもちろん、アンバランスな状態でランニングを行うことになるので、無駄な動きが増えて結果的にパフォーマンスも下げてしまいます。

このような不良姿勢は色々な分け方がありますが、今回は

1)猫背型(upper crossed syndrome)
2)ねじれ型(pronation distortion)
3)骨盤傾き型(lower crossed syndrome)

の3パターンにわけて説明していこうと思います。姿勢の崩れは千差万別なので、この分け方で全て説明がつくわけでははありません。分類方法に関しては上記以外にも色々と考えられますが、今回の記事内で説明していく上での便宜上の分類方法と解釈していただければと思います。

「正しい姿勢」を作るために「不良姿勢」について理解していきましょう

 

ランニングフォームに悪影響を与える不良姿勢

猫背型(upper crossed syndrome)

現代人の多くがなりがちな姿勢が「猫背型」。昔と比べて生活習慣が大きく変わっていることが原因といえます現代社会の生活スタイルにおいてパソコンやスマホの利用が増えて、何かをのぞき込んだり、前のめりになって過ごすことが極端に多くなってきてますからね。こういった状況の中で、猫背姿勢を取ってしまうのはある意味仕方がないことなのかもしれません。まさに典型的な現代人の姿勢とも言えます。

ただ、勿論このような姿勢が良いというわけではなく、様々な問題が起こってきます。猫背姿勢はupper crossed syndromeとも呼ばれます。日本語訳すると「上位交差性症候群」、少し小難しい言い方ですが、単語を分解してみると、

上位=上半身
交差性=前後でねじれる
症候群=様々な障害が発生する

という感じ。 つまり”猫背姿勢が上半身の筋のねじれを生み、それに伴って様々なトラブルが生じる”ということです。
上位交差生症候群は、単に見た目的な問題ではありません。猫背姿勢は頭を前に突き出すため、バランスを取ろうと背中が丸まってきます。さらに肩が前に入り込んで体の前面が縮こまる形になりますが、これは典型的な悪姿勢です。

これを放置したままの状態でフォームを改善しようと思ってもなかなかうまくいきません。ランニングフォームを修正したいというニーズは非常に多いですが、まずはこのような基本的なところから改善を行なっていくことはとても大切なことです。

 

ねじれ型(pronation distortion)

「ねじれ型」は筋の弱化や過剰な緊張が生む不良姿勢と考えられてます。少し言葉はややこしいですが、体が全体的に内側にねじれて姿勢が崩れていると考えてください。

この姿勢の特徴は足が回内していることです。言い換えると、 足の土踏まずが崩れて潰れX脚のような状態になり、膝や股関節といった体の様々な関節部分に負担をかけ、結果的に怪我の原因を作ってしまっている状態の事をいいます。男性よりも女性に多いと言われていますが、ご自身がもしそれに該当するようであればご注意ください。

パフォーマンスという意味でも、ランニング障害の誘発という意味でも良いことはありません。もともとの体のクセや骨格的な特徴(先天的な要素)も関係していることがあるので、簡単に修正できるものではないのですが、気をつけるべきところは気をつけて、正しいトレーニングを継続させていけば、変化を起こすことも無理ではありません。

 

反り腰型(lower crossed syndrome)

良い姿勢をとってくださいとお伝えした時に勘違いされやすいのが腰をグッと強く反った姿勢。腰を反らしておへそを前に突き出す姿勢は一見するときれいな姿勢のように見えなくもないのですが、過度に腰を反らすことも不良姿勢の一つです。姿勢についてきちんと理解していないと、誤った「良い姿勢」をとってしまう可能性があります。反り腰型姿勢もやはり運動効率を下げ、ケガにつながるリスクを高めてしまいます。

このような反り腰姿勢はlower crossed syndromeとも呼ばれ、日本語では「下位交差性症候群」と訳されます。前述した上位交差性症候群と名前が似ていますが、下位交差性症候群の場合は、そのねじれ現象が骨盤周囲で起きます。 腰が過度に反って腰椎に対するストレスが非常に強くなり、逆に腹筋群は引き伸ばされてしまいます。でっ尻状態なので、腰が下がったランニングフォームとなり、ストライドを広げる筋(腸腰筋や大腿直筋)もうまく使えなくなってしまいます。

セルフチェックとしては、壁に背中とお尻を当てて立ち指が3本以上入る場合は要注意、反り腰が慢性化している可能性があります。一般的には女性に多いといわれていますが、このチェックに当てはまる男性も少なくないので、慢性的な腰痛に悩む方は一度確認してみることをおススメします。

 

正しい姿勢の作り方

さて、ここまで「3つの不良姿勢」に関してのお話をしてきました。正しい姿勢&きれいな姿勢はより良いランニングフォームを作るためには不良姿勢を理解することも重要です。

ただし、不良姿勢をいきなり「優良」姿勢にするというのは非常に難しいです。というのも不良になっているのにはたくさんの理由があってそれらをひとつずつ取り除いてかなければないためです。筋の過緊張弱化関節の動きの悪さ骨格のズレゆがみ、そして筋バランスの崩れなど要素は様々。自分自身の体の状態が【理解】できたら、問題点を【修正】し、正しい姿勢を【習慣化】させていくという段階を踏んでいく必要があります。

自分自身の体の状態の【理解】

姿勢を修正するためにまずはじめに行うことは 自分がどういった姿勢をとっていて、どんな癖があり、体はどう歪んでいるか?ということを【理解】することがスタートです。姿勢は無意識の積み重ねなので、自分が気づいてないところでも歪みや硬さが生まれるので、写真や動画でチェックしてみるのが一番いいですね。

そもそも人間の臓器は必ずしも左右対象の位置にあるわけではありません。両側にある肺でも左右で大きさが違いますし、腎臓も左右で高さが違います。また、利き腕や利き足があるように誰しも必ず使いやすいほうの手足があります。 こういったアシンメトリーな状態を修正してくれているのが筋や靱帯といった軟部組織です。

筋や靭帯は優秀であるが故に、不良姿勢すらも何とか戻そうとする働きがあります。どんなに姿勢が悪くても立ったり、歩いたり、走ったり出来ますよね。ただし、 不良姿勢の結果として筋のバランスが崩れ、本来緊張しなくても良いはずの筋が硬くなったり、本来働くべき筋がサボってうまく動かなかったりします。
左右の筋の硬さや筋力差はこのせいで生じてしまいます。

厄介なことに、 筋や靭帯がバランスをとってくれるため、自分自身の左右差に気づけないことがよくあります。自分ではまっすぐ立ってるつもりでも、他人から見れば明らかに傾いているなんてこと、珍しい話じゃありません。ランニングフォームも一緒で、自分的には颯爽とかっこよく走っているつもりなのに、レース中の写真や動画を見てがっかりした経験ありませんか?

このような自分の体の癖や問題点を確認する時におすすめなのが「前後/左右差確認ストレッチ」です。これは特別なストレッチではありません。普段みなさんがやるようなストレッチを前後や左右で比べてみるだけです。ただし、変化をきちんと確認できるように、動画で撮影して動きを見れるようにしてください。あまり深く考えなくてもいいので、普段自分がやっているストレッチを前後/左右で比べてみます。その時に気づいた情報が前後差&左右差ですね。

動画でストレッチの一例をあげておきますが、ポイントは「何をやるか」よりも「どうやるか」です。 普段何気なくやっているストレッチも左右で硬さや動きを比べようと意識するといろんなことに気づきます。映像で確認すればよりはっきりとわかりやすいです。見る癖をつけるようにしてください。

《上半身の左右差確認ストレッチ》

《下半身の左右差確認ストレッチ》

問題点の【修正】

「前後/左右差確認ストレッチ」で自分の体の状態がわかった後は、これを修正していきましょう。当たり前ですが、体の癖や左右差はすぐに改善するわけではなく、時間がかかります。そもそも、そういった体の癖を急に変えようとすると体にも大きな負担がかかってしまうので、時間をかけてじっくり変えていった方がいいですね。

基本的には 前後/左右差確認ストレッチそのものが体のねじれや癖を修正する取り組みになります。動画で見た時に動きの差を感じたポイントを意識しながらストレッチを行うと、より効果的なストレッチになります。自分で気づいて自分で修正するという意識も非常に大事で、ここが根本解決のためのキモなんじゃないかとすら思ってます。言われて(指摘されて)納得したつもりでも、本気でそれを直そうと思うモチベーションは「自分で気づく」の方が高いと言えるでしょう。

前後/左右差確認ストレッチを継続的に行なっていてもなかなか改善されない場合は、一工夫が必要になりますが、ここまでくると個別評価がどうしても必要になります。 「トレーナーや治療家に指摘されて直さなきゃ」と思うのと、「自分で修正の必要性を感じ、色々やってみたけど自分ではもうどうしようもないのでトレーナーや治療家を頼ろう」では結果に天と地ほどの差がでます。色々やった時点で他人からの助力を求めるというスタンスが個人的にはおすすめです。

今回は一例をご紹介したいと思います。

基本的には動画で評価した方がいいのですが、分かりやすくするために画像を切り取りました。6パーターンのストレッチから分かった(推測される)主なポイントは

・右の肩甲骨が外に開きにくい
・右肩から左腰にかけての筋膜が伸びにくい
・左股関節前面が硬い

まだまだ注目すべきポイントはたくさんありますが、主なものです。

こういった体の左右差を修正するトレーニングの一例がこちら↓
(あくまで一例なので参考までに・・・)

 

正しい姿勢の【習慣化】

最後は正しい姿勢の【習慣化】です。これが一番時間がかかりますし、具体的にどれくらい時間がかかるかを明言するのも難しいです。変化を見ながら「これくらいの状態になるまでに○週間かかったので、×ヶ月後くらいには変化を感じられそうですね」という感じに実際はなってきます。それでも!姿勢への介入はやる価値がありますよ!!

正しい姿勢の習慣化のために大切なことは、どれだけ日常生活レベルに意識を落とし込めるか?ということに尽きます。コツコツストレッチやトレーニングを続けましょう。

そして逆の発想として、 日常生活動作でゆがみを起こさないための意識づけも重要です。「足を組まないようにする」「片足に体重をかけて立つことを避ける」など意識すべきポイントは色々ありますね。

変化はふとした瞬間に感じるものです。正しい取り組みで、姿勢の改善にぜひ取り組んでみてください!

 

まとめ

姿勢の評価は様々な専門家が自身の立場からいろんな評価方法、修正方法を持っているものです。この見方が正しい!というよりも、いろんな立場の見方を踏まえた上で総合的に考え、「評価ー修正ー習慣化」していくことが一番賢いでのではないでしょうか。

ただし、「不良姿勢=個性」となっている場合もあります。ここまで話をしてきたのに、全てをひっくり返すようなことを言ってゴメンナサイ(苦笑)もちろんかなり特殊なケースですし、トップ選手で独特な動きや姿勢をとる人は、それを超越するくらいいろんな取り組みをしてきています。自分の癖としっかり向き合った結果獲得したものということです。

一番良くないのは自分の姿勢について「無関心」であること。なんとなく放置していたり、そもそも気づいていないければ修正しようというアクションに繋がりません。
こういった改善のための取り組みに遅すぎるということはないので、修正の重要性や至急性に気づいたタイミングでぜひ自分の姿勢と向き合ってみてください!

 

September 1, 2019/トレーニング/