ランナーを悩ませるふくらはぎの「肉離れ」に対する治療と予防、リハビリ方法について

「肉離れ」ときくと皆さんどういったイメージをお持ちでしょうか?

スポーツにあまり馴染みがない方でも「子どもの運動会で久しぶりに走ったお父さんがなってしまう怪我」くらいにイメージしているかもしれませんね。ランナーにとっては非常に身近なトラブルで、再発しやすい怪我でもあります。治療院にいると、肉離れで悩むランナーさんから何度も相談を受けましたし、自分自身も度々肉離れを経験しました。

肉離れと言っても重症度は様々。比較的早期に動き出せるものもあれば、しっかり時間をかけてリハビリしていかなければいけないものもあります。回復の度合いは個人差もあり、きちんとした理解を持っておくことはとても重要です。今回はそんな「肉離れ」について詳しく見ていきましょう。テーマとしては非常に広範囲に及ぶため、ここではマラソンランナーや長距離選手に多い「ふくらはぎの肉離れ」について解説していきます。

 

「肉離れ」とは

一般的によく使われる「肉離れ」ということば。

文字のままに解釈すると筋が「離れる」と想像してしまいかもしれませんが、医学的には「離れる」というよりも「切れたり」「傷ついた」状態と表現した方が適切です。何かしらの衝撃によって筋が切れてしまった状態を「筋断裂(きんだんれつ)」「筋膜断裂(きんまくだんれつ)」、傷がついてしまった状態を「筋損傷(きんそんしょう)」と言います。

また、肉離れは世の中に広く浸透した言葉ですが、誤解されて使われていることが多い言葉でもあります。厳密にいうと肉離れは「筋を痛めたことによって思い通りに動けなくなった状態」のことを言います。医師やトレーナーも選手に伝わりやすいので「肉離れ」という表現をあえて使っていますが、正しくは怪我の名前ではなく”状態”。「筋断裂(損傷)によって肉離れ状態にある」が正しい言い方です。適切な治療やリハビリの妨げにならなければ肉離れ=怪我という風に考えてもいいのかもしれませんが、肉離れという言い方だけでは症状の正確な理解とズレるので頭の片隅においておいてください。
(この記事の中でも分かりやすさを重視して「肉離れ=怪我」として説明させてもらいます)

肉離れは全身どこにでも起きる可能性があるのですが、頻発するのは下肢。これは、下肢の筋のほうが大きな力を出すことができ、その分ダメージも大きくなるためです。肉離れは「ハムストリングス」と呼ばれる太ももの裏側の筋に頻発します。ここは下肢の筋の中でも特に大きな筋であり、運動において重要な役割を果たしてます。このハムストリングスの肉離れは全肉離れのうち43%にも上るという調査もありますし、陸上競技短距離、サッカー、ラグビー、アメフトなどにおいては発生する怪我のTop5に常に入るくらい馴染みの深い怪我です。

一方で走る距離が長くなるとハムストリングスよりも、「ふくらはぎ」の肉離れの方が多くなるということも指摘されています。もちろん、マラソンランナーが必ずふくらはぎを肉離れするわけではありませんが、一つの傾向として注目すべきものでしょう。

肉離れの程度や場所は筋の形や種類、あるいはそれぞれのスポーツ特有の動作に影響を受けます。治療を受ける際は、「何をして痛めたのか?」「どこが痛いのか?」「どれくらい痛いのか?」といったことを詳しく説明することが大切で、それによって肉離れをより正確に評価し、適切な治療を行うことが可能になります。怪我をした瞬間のことなんてなかなか覚えていない(思い出したくない)かもしれませんが、ドクターやトレーナーに出来るだけしっかり伝えるようにしてください。

 

「肉離れ」の分類

肉離れには様々な分類の仕方があります。自分でチェックする方法もあれば、画像を撮影して確認するものまで様々。重症の場合は自己判断は危険ですが、痛みの程度をまずセルフチェックするということも非常に大切です。必要に応じて使い分けていくといいでしょう。

肉離れのセルフチェック

肉離れが起こった瞬間、ふくらはぎには非常に強い痛みが発生します。一瞬つったかなと感じることもありますが、痛みはじわじわと継続するので、明らかに異常が起こったということにすぐ気づくでしょう。日本整形外科学会のHPより引用しましたが、ふくらはぎの肉離れの重症度を自分で確認する方法として、ふくらはぎを伸ばした時のストレッチ痛で判断する方法が紹介されています。

もちろん、このセルフチェックはあくまで初期評価なのでこれだけで終わらせてはいけません。必要に応じて治療を受けることは絶対に必要ですし、治療の必要性を意識するためのチェックですね。この方法の最大のメリットは非常に簡単なことです。肉離れかなと思ったらまずはこのチェックをしてみるのもいいかもしれません。

肉離れの程度による分類

筋損傷の程度による分け方がこれまで一般的に用いられてきた分類方法です。『柔道整復学』(改訂第5版)によると1度からⅢ度に分類されています

昔からこの「程度による分類」はよく用いられてきましたが、実際には客観的で正確な評価とは言い難いのが現状でした。特に、Ⅰ度損傷の多くは正しく判断されず治療もないがしろにされたまま自然治癒しているケースも多いと推測されています。治ればよし・・・というわけではありません。Ⅰ度損傷(筋線維の微細損傷)であっても、一旦負傷してしまえば再発する可能性が出てくるので注意が必要ですね。

肉離れの損傷パターンによる分類

近年、用いられるようになった分類方法が奥脇らの「損傷パターンによる分類」。MRIを用いてどこを痛めているのかを定めて肉離れを分類する方法です。画像診断に基づいて症状をより正確に把握するので、Ⅰ型とⅡ型の状態を把握するには特に有効です。またこの分類方法の普及により、復帰までの期間をこれまで以上に正確に見立てることが可能になってきました。

その一方で、デメリットとしては、撮影の手間とコスト。MRIを設置している医療機関は昔よりもかなり増えましたが、まだまだ手軽にできる検査と言えないのが実情でしょう。また、この分類方法であっても再発の可能性を探ることはなかなかできません(Koulouris 2007)。

肉離れの分類方法は非常に様々ですが、それぞれの特徴を踏まえた上で効果的に使い分けることが重要かなと思っています。痛みの理解を深めることで、より適切な行動が取れるようになってきます。少し細かいところですが、ぜひよく読み込んでみてください。

 

ふくらはぎの「肉離れ」の原因

肉離れはダッシュ、ストップ、ジャンプなどを含むスポーツに起きやすいと言われています。そう考えると、横の動きも多く、STOP&GOが多い球技の方が肉離れしやすそうですが、ランニング中の肉離れも少なくありません。原因は一つではなく、色々なものが複合的に絡み合って起こるものなので、原因として考えられるものを可能な限りはっきりさせた上で、治療やリハビリに臨むことが重要です。

以下、ふくらはぎの肉離れの原因を挙げていきたいと思います。個別のケースも含めると、これ以外にも色々考えられますが、一般的な「原因」と理解してください。

接地時にかかる足への負荷

肉離れは「自家筋力」によって起こると言われています。もう少しわかりやすく言うと、なんらかのスポーツ動作によって筋が過剰に収縮することで自ら筋繊維を傷つけると言うことです。自分の限界にチャレンジするようなスポーツ、不意な動きが多いスポーツなどに起こりやすい傾向にありますね。

ランニングに関していうと、足が接地した瞬間、体重の2〜4倍の負荷がかかると言われています。体重が65kgの人であれば130kg〜260kgの負荷がかかっている計算になり、その衝撃の強さは理論上からよく伝わると思います。このような衝撃は足のアーチ構造によって緩衝されますが、接地時のランニングフォームが不適切であれば足底腱膜炎を起こしてしまいます。

足が接地した瞬間に体重を支えるのはもちろん足の裏だけではありません。足関節、膝、股関節などの「関節」がクッションのように衝撃を吸収してくれていて、さらにはそれぞれの関節にまたがる筋がギュッと収縮することで関節の動きを制限してくれます。 この時ふくらはぎの筋に過剰な負荷がかかるようなランニングフォームだったり、筋力が足りていなかったり、柔軟性が低下していれば負荷に耐えられなくなったふくらはぎが肉離れを起こしてしまいます。

そういった意味では、ランニングは常に重力と戦っているスポーツと言ってもいいかもしれませんね。

ふくらはぎの肉離れを起こしやすいランニングフォーム

ランニングフォームと肉離れリスクに相関関係があることは感覚的にも経験的にもわかっていますが、いまだに世間一般で確固たるものが示されているわけではありません。これから解説していく内容は、僕がこれまでに見てきた様々なケースを踏まえた個人的な見解も含まれているので、その点ご留意ください。もちろん、そう考える根拠も同時に掲載していきますが、まだまだ議論の余地は残っていると思っています。

(1)膝から下を多用して走るフォーム

まず、一般的な傾向になりますが、大人になってから走り始めた市民ランナーの場合、「膝から下を多用して走るフォーム」となっているケースがたびたび見られます。太ももに比べてふくらはぎは小回りが利いて使いやすいため、股関節を大きく開かないちょこちょこ走りが走りやすく感じるのはおかしなことではありませんが、怪我予防の観点でもパフォーマンス向上の観点でもあまり良いフォームとは言えません。股関節をあまり使わないということは、相対的にふくらはぎ(膝から下)の使用度が高くなります。そうなるとふくらはぎは疲労しやすく、肉離れのリスクも高くなってしまいます。

(2)つま先で接地するフォーム

また、近年注目されているつま先で接地するフォームも要注意です。一般にはフォアフット走法とも呼ばれます。つま先で接地した場合、体重が足に乗った瞬間グッとふくらはぎが引き伸ばされ、大きな負荷がかかってきます。ランニングフォームとして考えると効率が良い走りと評価されたとしても、そのフォームに耐えられるだけの筋力が伴っていないとケガの原因になってしまいます。フォアフット走法は筋力があってこそ成り立つフォームなので、安易な真似事は危険ですね。

ちなみに、、、情報が溢れる時代になったので、世界のマラソントップランナーはつま先で着地しているという情報が一人歩きして、あたかも一流選手がおしなべてフォアフット走法しているような認識もあるのではないかと邪推しています。しかし、実際にはそんなことはなく、最近では、フォアフット走法と思われているランナーでも、体重が最も足にかかっている瞬間は足の裏全体で支えていることが分かってきました。なかなか奥深いテーマですね。

(3)地面を力強く蹴って走るフォーム

そして、地面を蹴る力が強い「バネのある走り」をするランナーも肉離れを起こしやすいように感じます。走力レベルの高いランナーに多いですね。 力強く地面を蹴るということはそれだけふくらはぎもしっかり使っているということ。もちろん、筋の「質」や「量」そして「形」にも個人差があるので、地面をしっかり蹴る走りが適した人もそうじゃない人もいます。ただ、こう言ったタイプのフォームで走るランナーの場合はふくらはぎ周辺のトラブルが多いと思って、入念にケアをすることが重要ですね。

疲労の蓄積

筋の疲労は肉離れと強い因果関係があることがわかっています。 筋疲労が直接的に肉離れを起こすこともあれば、疲労の蓄積によってフォームが崩れることでふくらはぎにかかる負担が増大し肉離れを起こすこともあります。「疲労」と一言で言っても様々な因果関係として現れてしまいますね。練習を詰め込む走り込み期や、レースに続けてエントリーしているような時は十分気をつけなくてはいけませんね。

ウォーミングアップ不足

ウォーミングアップが不足している場合も要注意。ウォーミングアップと肉離れの相関関係を示した研究データがあるわけではないのですが、経験的にも実感的にも感じていることです。 ウォーミングアップが不足していると、筋は本来の動きができなくなってしまいます。仕事後に走るランナーや朝走るランナーなど「時間がない」という状況でも、手短にストレッチをしたり、いきなりスピードをあげて走らないなど、配慮が必要ですね。

主なものをあげましたが、これ以外にもかなり色々考えられます。シューズの問題、運動をしている場所、温度や湿度と言った環境因子など、様々な要因が複合的に重なって肉離れを起こしています。再発率が高いだけに、肉離れから回復した後も再発予防という意味で自分の弱みと見つめあって、必要なリハビリやトレーニングを行っていきましょう。そして、繰り返し肉離れを起こしてしまう場合は、1人で解決しようとせず、医療関係者やトレーナーからアドバイスをもらうようにしてください。

 

ふくらはぎの「肉離れ」の症状

疼痛

肉離れの症状の中でも最も顕著に現れるのは痛みです。医学的には疼痛(とうつう)と言う表現を使いますが、ずきずき疼くような痛みのことを意味しています。

筋断裂や筋損傷を起こした瞬間はつったかな?と勘違いしますが、実際に出ている痛みは非常に強く、単なる「つった状態」じゃないとすぐに本人はすぐに分かるでしょう。肉離れの場合、つった状態と違って時間がたってもその症状がなかなかよくなりません。それどころか逆に疼くように痛んできます。自分自身でもわかりやすい自覚症状の一つなのでもし強痛みが伴い場合は肉ば慣れの可能性が高いと言えます。

圧痛

肉離れは筋繊維に何かしらのダメージを受けた状態なので、その部分を押すと周囲よりも明確に痛む場所があります。このような場所のことを圧痛点と言いますが、それによって痛めた箇所を推測していきます。効果的に治療を進めるためにはこの圧痛点を中心にしっかり圧迫をかけることが重要なので、大事な症状の指標になります。

絶対にやっちゃいけないことは圧痛点をグリグリと揉みほぐすことです。たしかに、怪我の回復過程でこういった圧痛点は筋硬結としてしこりのような状態になるのですが、怪我をした直後は傷を負った状態と一緒です。痛みに耐えながらマッサージはNGです。筋をさらに痛めてしまいますからね。同様の理由でストレッチもNGです。症状が落ち着いてきた段階で徐々に行うようにしてください。

動作痛

ふくらはぎは歩行時はもちろん、膝の曲げ伸ばしや股関節の曲げ伸ばしの際にも動員される場所です。スポーツ動作だけでなく、日常生活動作であっても、筋が引き伸ばされるような形になれば痛みを感じます。肉離れの症状を表す一つの指標として捉えてください。

動作痛で気をつけるべきことは、かばう動作になって二次的な痛みが発生することです。脚を引きずって怪我をしていない部分にまで過剰な負担がかかってしまえば、別の怪我につながりかねません。痛みを我慢して練習に戻ることは色な意味でリスクが高いと言えます。

内出血

内出血はすぐに出ないケースも多く、1週間ほどで徐々に紫色に変わってきます。すぐに出るケースもありますが、その場合は重症なので、症状の程度の判断はここからもできます。内出血は文字通り体の中で出血している状態の事です。この時、患部は血で覆われた状態になっていますが、傷ついた細胞が元に戻る上ではこういった「血に覆われた状態」が重要です。見た目にショックを受けて落ち込まないようにしてください。

腫脹

肉離れの箇所は内出血や組織液が漏れ出す事によって腫れてきます。肉離れの重症度によって程度の差はありますが、”腫れ”という症状はほぼ必発する症状です。腫れが酷い場合は組織が圧迫されて二次的な酸欠状態に陥るため、注意が必要です。患部を圧迫すると言うことはこういった過剰な腫れを防ぐことにも繋がるので、積極的に行うようにしてください。

 

ふくらはぎの「肉離れ」の診断

肉離れを評価する上で非常に大事なことは「押していたいか?」「動かしていたいか?」です。痛みは主観的な指標になりますが、とても重要な訴えなので我慢せず、かといって大げさにも言わずにそのままの症状を正しく伝えるようにしてください。目に見えて痛めた場所が凹んでいたり、内出血があったり、腫れていたりすれば肉離れの診断はすぐにつきますがそうじゃないことも少なくありませんからね。

より正確に肉離れを「確定診断」したい場合や肉離れの程度を客観的に知りたい場合は、MRI検査を行うこともあります。これであれば一目瞭然ですね。MRIとなるとかなり大掛かりな検査なので、最近では超音波(エコー)を用いて調べることもあります。画像の鮮明度は劣りますが、超音波でも十分確認することはできるので、画像診断装置を備えた医療機関にかかることをお勧めします。

 

ふくらはぎの「肉離れ」の治療とリハビリ

肉離れの治療は受症直後の処置である「急性期」と、一定の時間がたった「回復期」、そして「運動再開後」に分けて考えていきます。きちんとした処置を早急に行うことは非常に大事ですし、それぞれの段階において適切なリハビリをしっかり行うようにしてください。

急性期

急性期は筋が傷ついている状態です。損傷や出血を拡げないように発症から48時間以内は安静、冷却、圧迫、挙上をしっかり行ってください。RICE処置に関する様々な意見が出ていて、特に「冷却」に関しては、議論が分かれるところですが、ひどい肉離れの場合は痛みが強く出るため、冷却によって痛みを抑えることは非常に重要な処置だと考えています。RICE処置に関する詳しい解説はこちらをご覧ください。

「怪我をしたところは冷やせ」は間違い?RICE処置の新常識!!

怪我をした最初の48時間をすぎると安静時の痛みは徐々に軽減していきますが、そのまますぐに日常生活に戻ったり運動を再開してしようと思っても痛みでなかなか思うように動けません。テーピングやサポーターなどを使って圧迫を継続し、可能な限り荷重は避け、不用不急の活動は控えるようにしてください。

肉離れの程度が高ければ高いほど、「患部に体重をかけない」ということが重要になります。肉離れでも松葉杖を渡されること(使うように促されること)もあるので、もし医療機関で松葉杖の使用を勧められた場合は確実に使用するようにしてください。

痛みの程度によっては消炎鎮痛剤の服用や消炎外用剤の使用も必要になってきます。薬局でシップ材などを購入することもできますが、基本的には整形外科でドクターの判断を仰ぐようにしてください。

回復期

受傷後、一定の期間が経つと安静時の痛みは落ち着き、運動中や運動後の痛みに限られてきます。この時期が回復期であり、肉離れの治療の上では非常に重要な時期です。

肉離れを起こすと患部は傷がつき壊れます。その傷がついた部分を埋めるように「結合組織」が形成されていくのですが筋繊維とそもそも組織自体が異なるため、結合組織で埋められた損傷部は硬くなり、結果的に怪我をした患部はもちろん、筋全体が怪我をする前と同じように動かせなくなります。これが肉離れ後に感じる「違和感」です。

急性期の処置が不適切だと、この「結合組織」が過剰に形成されため、回復期に入ったあとは結合組織がしっかり筋と馴染んで、肉離れをする前と限りなく近くなるように、患部を緩めるような物理療法(電気治療、温熱療法、鍼治療、マッサージなど)を受けたり、軽くストレッチしたりしてください。痛みがある程度落ち着けば徐々に負荷の軽い運動も行って良い段階です。完全安静にせずに少しずつ患部を動かして、筋全体の血流を上げるようにしましょう。

運動復帰後のリハビリ

運動に少しずつ戻れるようになったら、痛みの程度を確認しながら行うことがとても大事です。できる運動レベルは個人差がとても大きく、あまりにも痛みが強い場合、あるいは運動中にどんどん痛みが増すようであればそのまま継続することはが好ましくないので、途中で強度を下げるか中断するようにしましょう。

運動再開にあたっては段階的なトレーニングが重要です。

(1)ふくらはぎに負荷をかける【乗り込む】
(2)ふくらはぎに体重をかける【踏み込む】
(3)ふくらはぎで地面を蹴る【蹴り出す】

リハビリにおいて用いられる運動様式を、上記の3種類に分けて考えるとわかりやすいかなと思ってます。過剰な負荷がかかると再発したり、痛みや違和感がなかなか抜けなかったりするので、慎重にリハビリプログラムを組む必要があるので、注意が必要です。

(1)ふくらはぎに負荷をかける【乗り込む】

安静状態からの最初のリハビリとして取り組むべきことは体重をかけたり、患部を伸ばしたりという「乗り込み動作」です。肉離れで硬くなった組織を安静に保っていると、患部に体重をかけたり動かしたりすることが怖くなってしまうため、まずはこの「怖さ」をしっかり取り除くためのリハビリをやっていきましょう。その第一段階が「乗り込む」という動作です。

第一段階はしっかり患部のストレッチから始めていきます。痛めた場所が伸びている感覚が出ていればOKですし、様々なストレッチを行ってください。それが可能になったら足に体重をかけていきます。安定した場所、不安定な場所など、少し条件を変えて行うとふくらはぎの筋はしっかり伸ばせるので、バリエーションもつけてみてください。

《動画:ふくらはぎの肉離れのリハビリ(1)》

(2)ふくらはぎに体重をかける【踏み込む】

その次の段階は、しっかりふくらはぎを動かすことです。体重を徐々にかけていく「踏み込み」という動作をいれていきます。この動作が加わってくると足にかかる負荷が一気に上がります。このリハビリで痛みが出るようであればもちろん運動は継続できませんが、完全復帰のためには非常に大事なステップですね。

この時期に主に行って欲しい動きは「ランジ」です。股関節をしっかり使いながら、ふくらはぎに荷重させる「踏み込み」動作がおすすめです。またランニング動作は踏み込んだ後に逆脚が前に運ばれるので、その動きもリハビリ動作の中に入れると良いです。

《動画:ふくらはぎのリハビリ(2)》

(3)ふくらはぎで地面を蹴る【蹴り出す】

リハビリの最終段階はランニング動作には欠かせない「蹴り出す」動作を取り入れていきます。リハビリとしてはこの踏み込むトレーニングが最終段階であり、丁寧にこの蹴り出すメニューをこなしていきます。いわゆるジャンプ系のトレーニングになるので、痛みが治っても継続的に続けた方がいいトレーニングですね。

《動画:ふくらはぎのトレーニング(3)》

代表的なものや一般的なものをまとめましたが、リハビリの詳しいメニューは基本的に症状によって異なりますし、ここに書いたののだけで完結するわけではありません。回復具合や弱点をしっかり評価した上で行うからこそ、効果的なリハビリになるので、基本的にはリハビリのメニューは専門家に組んでもらった方がいいですね。そして、肉離れの原因に少なからず関係しているであろうランニングフォームの改善ももちろん必要です。これに関しては機会を改めて説明していきたいと思います。

まとめ

肉離れは再発が多いため、非常に”厄介な怪我”と思われています。実際、同じ場所を何度も肉離れしてしまうケースはよく見かけます。

喉元過ぎれば熱さ忘れる・・・

ではないですが、痛みが落ち着いてくるとそれまで練習できなかった分を取り戻そうとしてリハビリを軽視しがちです。地味なリハビリをやるよりもしっかり練習したい!と思うのはもっともな心理ですが、再発予防の取り組みもおろそかにしないことが重要ですよ。

肉離れは非常に”派手な怪我”です。見た目的にも、怪我をした瞬間も、、、トラウマになるランナーもいるくらいなので正しい処置とリハビリは必須だと思います。繰り返しやすい怪我だからこそ、正しく理解し、必要な処置がしっかりできるようにこの怪我と向き合いましょうね!

August 29, 2019/怪我・故障/