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足の裏が痛い!
足底腱膜炎(足底筋膜炎)が起こるメカニズムと治療・リハビリ方法

「足の裏が痛い」

そんな経験はないでしょうか?踵に近い足の裏が痛くなることは、ランナーにとって珍しい話ではなく、むしろよく見かける症状の一つです。

足の裏には 足底腱膜(そくていけんまく)と呼ばれる丈夫な腱組織が広がっていて、人間の体重を支える上では非常に重要な組織です。この足底腱膜には常に体重がかかるため、微細なダメージを受けやすい組織であり、そこにダメージが蓄積されることによって痛みが出る症状のことを 「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と言います。

痛みの原因は非常に複雑であり、トップアスリートの中にもこの症状に悩まされ、引退のきっかけになった選手もいるため「治りにくい怪我」と認識されている怪我でもあります。

ランナーにとっては、非常に身近で重要な怪我の一つ。今回はこの足底腱膜炎について正しい知識を身につけておきましょう。

1分でわかる足底腱膜炎

✔️足底腱膜は足の裏に広がる丈夫で硬い腱組織である

✔️️足底腱膜は足の裏にあるアーチを保持している

✔️代表的なランニング障害の一つであり、走り過ぎで起こると言われている

✔️足底腱膜炎の原因は大きく分けると三つ
1、接地のたびにかかる繰り返しの衝撃
2、足が地面から離れる瞬間の負荷
3、下腿部の緊張

✔️足底腱膜炎では踵の付け根、足底腱膜の中央、指先といったところに痛みが出やすい

✔️起床時の足の裏の痛み(モーニングアタック)は足底腱膜炎の典型的な症状である

✔️痛みが出た初期は安静状態を作ることが基本

✔️足底版やテーピングなどでアーチを保護することも有効

✔️固まった足部の筋や関節を緩めることで悪化や再発を予防することができる

✔️痛みがあまりにも強い時は整形外科での治療をきちんと受ける
(自己流でのケアだけに頼らない)

✔️最終的には動きの改善や筋力強化などの取り組みが必要

そもそも足底腱膜って何?

自動車には振動を吸収するためにサスペンションという機能が備わっています。人間の足の裏に一緒。 衝撃を吸収するために「アーチ」という機能が備わっていて非常に重要な役目を果たしています。

ご自身の足の裏を見てください。地面に両足をつけて立ったとしても足の裏全体が地面にベタっとつくことはありませんよね。扁平足など特殊なケースは例外ですが、足の裏には「土踏まず」があるため、足の内側がわずかに浮いています。そこが足のアーチであり、 体重が足にかかった瞬間にアーチが潰れることでクッションのような役目を果たし衝撃を吸収してくれているというわけです。

足底腱膜炎

自動車のサスペンションのようなもんですね。地面の凹凸に対して、車体がぐらつかないように衝撃を吸収してくれているものがサスペンション。これと同じく、足部にあるアーチは体重を支えるクッションであり、地面の凹凸によってかかる過剰な衝撃を鑑賞させてくれる役割もあります。詳しくは足部のアーチに関する記事をご覧ください。

足底腱膜炎

そして、このアーチが崩れないように支えてくれているものが「足底腱膜」。非常に硬くて強い組織です。頑丈な腱組織なのでこれ自体は筋のように疲労したり、エネルギーを消費したりすることありません。簡単には切れないロープのようなものをイメージしてもらうといいかもしれませんね。足の指の付け根からかかとにかけて扇状にピンと張る組織で外からも観察することができます。

足底腱膜炎

「足底腱膜炎」と「足底腱膜炎」は別物?

世の中的によく混同して使われる言葉が「足底筋膜炎」と「足底腱膜炎」。みなさんはこの2種類の言葉の違いがわかりますか?「足の裏が痛くなる」「体重をかけると痛い」という基本的な症状はどちらも一緒ですが、この両者は正確にはイコールではありません。

そもそも、「筋膜」とは文字通り筋の周囲を覆う膜のことをいいます。足底に限らずその他の筋も基本的にはこの筋膜に覆われていて、筋が正常に働くにはとても大事な組織です。「足底筋膜」と言えばもう想像はつくと思いますが、足の裏にある筋を包む膜のこと。ただし、足は体重を支える大事な場所なので 足底筋膜の一部は繊維が集まって強くて丈夫な組織に変性しています。それが「足底腱膜」です。

一般的に「足の裏が痛くなるランニング障害」と言えばほぼ足底腱膜のトラブルを言います。 足底腱膜そのものや付け根にストレスがかかることで痛みが起きるので、「足底腱膜炎」という言葉を使った方が怪我の状態をより正確に反映しているでしょう。ドクターやトレーナーは基本的に「足底腱膜炎」という言葉を使っていると思います。

足底腱膜炎の原因

足底には様々な負荷が加わります。大きなものから小さなものまで様々で、その負荷は体の使い方や筋力などによって違ってきますが、そういった足底に繰り返しかかる負荷が怪我の原因になっています。

接地のたびにかかる繰り返しの衝撃

一つめは足が地面に接地するたびにかかる繰り返しの衝撃です。足底は地面と接する唯一の場所なので、立ったり歩いたりはしたりするなかで、常に一定以上の負荷がかかってしまいます。

ランニングフォームに関するこれまでの研究によると、接地の瞬間に体重に対して2〜4倍の負荷がかかるといわれています。体重が65kgの人であれば130kg〜260kgの負荷がかかっている計算なので、その衝撃の強さはここからも分かりますよね。足底にあるアーチはこういった負荷を和らげる重要なクッションの一つです。ここが正常に機能しなくなると怪我に繋がることは簡単に想像がつきます。

足にかかる負荷はランニングフォーム(体の使い方)筋力地面の硬さシューズなどによって変わってくるため、もちろんすべてのランナーが足底腱膜炎になるわけではありません。ただ、 接地の瞬間にかかる負担は足底腱膜炎の一因になります。痛みに悩む場合はこの負担を減らすようなアプローチはとても重要です。

足底腱膜炎

足が地面から離れる瞬間の負荷

二つめは、 足が地面から離れる瞬間に足底腱膜がかかとを強く引っ張る力です。少し分かりづらいかもしれませんが、もう一度自分のつま先を掴んで足の指をそらした状態をイメージしてみてください。腱組織である足底腱膜は筋のように伸びるわけではありません。足の指がそらされた瞬間にかかとを強く引っ張るように作用します(ウインドラス機構)。この足底腱膜が緊張してかかとを引っ張る作用はバネのような働きもあるため、運動パフォーマンスを左右する重要なものになります。しかし、この負荷が繰り返しかかると足底腱膜には過剰な負荷がかかり、それが足底腱膜炎の原因にもなってしまいます。こちらも注意が必要ですね。

足底腱膜炎

下腿部の緊張

足底腱膜は踵の骨につながる腱ですが、この踵の骨自体がアキレス腱によって引っ張られると足底腱膜の緊張も強くなります。アキレス腱は下腿の筋につながっているため、 言い換えればふくらはぎの筋の緊張と足底腱膜炎はとても深い関係にあります。足の裏ばかりに注目しがちですが、実際にはふくらはぎも非常に関係が深い筋なので、そこに注目してケアを行うことも必要になってきます。ケアが不足すると足底腱膜炎だけでなく、アキレス腱痛につながりかねないので要注意です。

足底腱膜炎

足底腱膜炎の症状

足底腱膜炎の特徴的な痛みは「踏み込んだ瞬間の足の裏の痛み」です。これは足に体重をかけた瞬間に足底腱膜が緊張するために起きる痛みなのですが、こういった典型的な症状があれば足底腱膜炎を疑ってみてください。また、足底腱膜炎に悩む方の中には「朝、起き上がった瞬間の一歩目が痛い」という訴えもよく聞きます。これは「モーニングアタック」といいます。寝ている状態は人間がもっとも力が抜ける安静状態で、足底には荷重がまったくかからなくなります。その状態から目が覚めて足底に体重をかけた瞬間に足底腱膜は急に引き伸ばされるため、痛みが出ると考えられています。朝の一歩目の痛み=足底腱膜炎と考える人もいるくらい目安になる症状ですね。

痛みが出る場所はかかとの付け根(踵骨付着部)土踏まずの中央(足底腱膜中央部)足の指の関節の付け根(中足骨頭部)など様々。この中でも一番よく見られるのはかかとの付け根の痛みです。足底腱膜が付着する場所でもあり、ここに炎症が起きていると考えれています。

発症初期は動き始めに痛みが出て、しばらくすると痛みは和らぎます。走っているうちに痛みが和らぐからそのまま走り続けても大丈夫だろうと考えていると、ある時急に我慢できないくらいの激痛になることがあるので、初期のうちからの正しいケアを怠らないようにしましょう。

また、患部にはかなり強めの圧痛が出ます。この圧痛があった段階で適切な処置をすることが大事ですし、足の裏は自分で簡単に触ってチェックできるので、日々のケアの中に足底のセルフマッサージを行って状態を確認しておくことが重要ですね。

足底腱膜炎足底腱膜炎が悪化し慢性化すると、しばしばかかとの骨にトゲのような変形が起こることがあります。骨棘(こつきょく)と呼ばれるもので、ここまで症状が進行すると痛みが完全になくなるまでには相当の時間がかかってしまいます。どんな怪我もそうですが、早期発見&早期治療はとても大事なことなので、自分自身で痛みのセルフチェクをしながら、必要に応じて専門家の治療を受けるようにしてください。
足底腱膜炎

足底腱膜炎はランニング障害だけではない

ここまでランニング障害としての足底腱膜炎について述べてきましたが、決してランニングをしている方だけに起こる怪我ではありません。むしろ運動をあまりしない座りがちな生活習慣の人も注意すべき怪我です。

普段座っていることが多い方の場合、何かのきっかけで急に運動を始めたり、いきなり運動負荷をあげただけで、凝り固まった足底腱膜が正常に働かずに足底腱膜炎を発症することがあります。また、サンダルやヒールなど、支えの少ない靴を履いていると、ふくらはぎは常に硬くなりがちで、これも足底腱膜炎の原因になってしまいます。誰にでも起こりうる怪我なので、注意が必要ですね。

こういった観点を踏まえて、再び“ランニング障害としての足底腱膜炎”に話を戻そうと思います。みなさんの中には仕事が終わってから走り出すという方はいませんか?日常的にヒールを履くという方はいませんか?

そういった方は用心してくだいさい。1日の中で体をあまり動かさない時間ができるので、いわば一時的に体は運動不足状態になります。そのまま走り出せば怪我のリスクは上がりますし、良い動きもできません。

仕事後に走ろうと思うとどうしても時間が限られていて、ウォーミングアップなどのケアがおろそかになってしまいます。でも、そこは必要最低限でも構わないので、ストレッチや準備体操などのウォーミングアップをきちんと行うようにしてください。

足底腱膜炎の改善

足底腱膜炎の改善のためには

・痛みに対してのアプローチ
・原因に対してのアプローチ

の二つの側面から考えることが重要です。怪我には個人差があるので、これだけやっておけば大丈夫という特効薬(方法)はありませんが、怪我のことをきちんと理解して、基本的な処置を正しく行うことにデメリットはありません。逆にこれで劇的に改善したという方法を鵜呑みにして飛びつくほうが危険なので、正しい知識をしっかり持って怪我に向き合いましょう。原因のない怪我はないですから。

痛みに対してのアプローチ

炎症が起きた組織は基本的に「安静状態」を作ることが重要です。炎症部に負担をかけることは、怪我をして擦りむいた傷口を自分でこすったりひっかいたりすることと同じ行為になってしまいます。

患部をできるだけ安静に保つために、痛みが強い場合や痛みが出た初期は足に負担がかかるランニングは控えてください。早期に動きまわってしまうと足底腱膜に負担をかけ続けてしまうので、痛みが引かないどころか慢性化してしまう恐れもあります。どうしても運動したい場合は足底に負担のかからないような水泳、バイクなどであればOKです。筋力や筋力持久力の維持を図るようにしてください。

日常生活動作における足底への負荷はゼロにはできないので、テーピングや足底板などを使ってアーチを押し上げる方法もおススメします。足底板も世の中にたくさん出回っていますしね。ただ、自分にあった足底板を素人判断で選ぶことは非常に難しいので、必ず専門家のアドバイスを受けてください。

【動画:足底腱膜炎のテーピング(伸縮)】

【動画:足底腱膜炎のテーピング(非伸縮)】

あまりにも痛みが強い場合は整形外科で消炎鎮痛薬の含まれた湿布や飲み薬(ロキソニンやボルタレンなど)が処方されることもあります。ステロイド注射も治療の一環で行われることもありますが、これ自体を長期にわたって続けることは最近あまり推奨されていないので、頻繁に行うことは避けたほうが良いでしょう。また、競技や状況によってドーピング検査にひっかかるケースもありますので、信頼できるドクターに十分に相談した上で行うようにしましょう。

参考:日本足の外科学会

原因に対してのアプローチ

足底筋群が過剰に緊張していると足底腱膜炎を引き起こしてしまいます。痛みで悩む方の多くは足部の筋が硬くなり、正常に動かせなくなっているケースが非常に多いです。長時間のランニングの後は特に足部が硬くなって十分に動かせなくなっていることが多いので、ストレッチやセルフマッサージをよく行うようにしてください。また、ふくらはぎの筋もしっかり緩めるようにします。足部の筋のセルフケアと同時にふくらはぎもよく緩めるようにしましょう。

【動画:足底腱膜のストレッチ】

【動画:ふくらはぎのストレッチ】

非常に簡単で誰でもできるストレッチばかりです。簡単ですがコツコツ続けることで足部の柔らかさが徐々に出てくるのでぜひ実践してみてください。

最終的にはランニングフォームの改善や筋力強化など個別の課題にぶつかります。その段階になれば動きの指導や筋力トレーニングの指導を受けていた時にすっと腑に落ちるでしょう。個別指導などもいいのですが、まずはご自分でできることをきっちりこなしてみてください。

足底腱膜炎に関するまとめ

足底腱膜炎はランナーにとっては非常におなじみの怪我です。多くの人が経験し、そして悩み、試行錯誤しながら治療に取り組んでいるものだなと感じています。実際に足の裏に痛みが出るとランニングはもちろんのこと、日常生活にすら支障が出てしまい、大きく落ち込みます。そういう方はこれまで何人も見てきましたし、自分も経験しました。

足底腱膜炎は
・走らないという我慢
・地道なセルフケア
・適切な処置
・細かい筋のトレーニング

が非常に重要になってきます。こういったトレーニングをコツコツこなすことで必ず改善の兆しが見えてくるので、辛抱強く怪我と向き合ってください。

May 20, 2019/怪我・故障/

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