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足関節捻挫からの正しいランニング復帰
足関節捻挫の症状と予防とリハビリ

私たちの生活において最も身近な怪我の一つが捻挫。誰もが耳にしたことがあり、多くの人が経験したことのある怪我ではないでしょうか?

捻挫は「捻る(ひねる)+挫く(くじく)」という言葉からもわかるように関節を不自然に捻ったときに起こる怪我です。スポーツ場面はもちろん、日常生活でも決して珍しくはないので様々な情報が流れていますが、正しく理解されていない現状もあると感じています。そこで今回は捻挫について詳しくみていきましょう。

要点を最初にザクッと

◉ 捻挫は関節が正常な可動域を超えて無理やり動かされた時に起こる怪我である

◉ 捻挫の主な症状は「腫れ」「熱感」「動作痛」「圧痛」である

◉ 捻挫の場合、靭帯がどれくらい傷ついたかでⅠ度〜Ⅲ度に損傷の程度が分類される

◉ Ⅰ度損傷の場合は数日で動けるようになるため、痛みの程度を確認しながら徐々にスポーツへの復帰は可能である

◉ Ⅱ度損傷の場合は靭帯が部分的に損傷しているため無理に動かすことはNGだが、長期間の安静固定は逆に回復が遅れるため、頃合いを見計らって動かすことが重要である

◉ Ⅲ度損傷の場合は靭帯の完全断裂であり、長期間の固定が必要になることが多い

◉ 捻挫は決して軽傷と侮らず、適切な治療とリハビリを行うことが重要肉離れ筋線維が傷ついてしまった状態のことを言い、長距離ランナーはふくらはぎ周辺に発症しやすい

 

捻挫とは

捻挫を正確に定義すると、「関節が正常の範囲を越えて無理やり動かされたときに関節を支える靭帯などが損傷を受けた状態」のことを言います。ちょっと小難しい表現ですが、「正常範囲を超えて」というところがポイントです。関節は骨と骨をつなぐジョイント部分なので、基本的に動く組織ですが、だからといって操り人形のように自由自在に動くわけではありません。どの関節にも動く範囲があり、それを関節可動域(かんせつかどういき)と言います。

足関節捻挫

それぞれの関節は関節可動域を超えないように、骨同士が靭帯でつながっていたり、お互いが「ほぞ」と「溝」のようにかみ合ってたりしています。正常範囲を超えてひねった時に関節を構成する骨が折れてしまえば「骨折」、骨は折れないけどその関係性が崩れれば「脱臼」、そして骨折でも脱臼でもないけど靭帯や関節の間にある組織が傷ついてしまえば「捻挫」となります。程度や頻度の頻度の差はありますが、関節であればどこでも捻挫する可能性があるという理解をしていただけるといいですね。

最も捻挫しやすいのは足関節。足関節の捻挫はいわゆる「足首をくじいた」という状態です。特に内側に挫くことが多いのですが、これは足関節の構造的な問題です。

 

捻挫の症状

足首をくじいて「捻挫」と診断された時、「骨が折れてなくてよかったねぇ」と安堵する場面を時々見かけますが、単純に良かったねと胸をなでおろすのは早い!場合によっては骨折以上に注意が必要です。捻挫は言い換えれば靭帯損傷であり、骨折よりも治癒に時間がかかることがあります。捻挫を軽視してすぐに運動を再開してしまうのは非常に危険なので、 まずは捻挫の症状を理解して、自分自身で重症度(動いていいかどうか)の”初期判断”ができるようにしておきましょう。

捻挫の主な症状は以下の通り

(1)腫れ
(2)熱感
(3)動かした時の痛み(動作痛)
(4)押した時の痛み(圧痛)

捻挫するとまず最初に 「腫れ」に気づきます。パンパンになって靴が履けなくなったり(そもそも痛くて履けないのですが)、靴下のゴムの跡がくっきり残ったりするので、すぐにこれはただ事ではないとわかるはずです。足関節捻挫の場合は外側の靭帯を痛めやすいので、腫れは外側を中心に発生し、外くるぶしの下に内出血が見られます。症状がひどくなると痛みによって歩けなくなったり、立っていると足首がぐらついて不安定な感じがすることもしばしば。こうなってくるとスポーツはもちろん中断ですが、日常生活にも支障が出てしまうので、慎重な行動が必要です。

「熱感」というと、カッカと熱く感じることをイメージするかもしれませんが、実際にはじんわり痛いと行った感じの鈍痛です。内出血を起こしていると、血管から出た血液が組織の中に滲み出てじんわり患部が熱くなっているように感じるため、そういった自覚症状を「熱感」という風に表現しています。

「動作痛」も説明は不要かなと思いますが、捻挫は正常な関節の可動範囲を超えてダメージを負ったわけなので、負傷後は正しい位置に関節が収まってくれません。ふと動かした瞬間に患部に負荷がかかるので痛みが生じ、結果的に動作痛として現れてしまいます。

また、 「圧痛」も捻挫の典型的な症状。症状を確認するために押すというのであれば良いのですが、繰り返し押すことは傷口をえぐる行為になるので、避けたほうがいいですね。子どもの場合は捻挫に加えて小さな骨折を一緒に引き起こしていることがあります。整形外科に行けば大抵レントゲンを撮られ骨折の有無をチェックされますが、ご両親自身もそう言ったリスクを頭に入れて置くと落ち着いて症状の観察ができるでしょう。

足関節捻挫

 

捻挫の分類

足を内側に挫くと、外側の靭帯を痛めます。足関節の外側には主要な靭帯が5本ありますが、その靭帯を「どのように」「どれだけ」傷つけたかで捻挫の程度が評価されます。日本整形外科学会による分類を参照すると、以下の三段階に分類されます。

Ⅰ度損傷

もっとも軽い損傷のことを「Ⅰ度損傷」といいます。 靭帯を軽く伸ばした状態のことを言い、この場合関節は少し緩くなりますが、歩くのが困難になるほどの痛みや腫れが強く出るわけではありません。通常は2〜3日でスポーツに復帰できますが、きちんと治療を受けることは必須。軽症だからといって治療を怠れば症状を悪化させてしまうことがあります。この「動けるけど動かない!」という判断ができるかどうかは捻挫を考える上で非常に重要なポイントですね。

Ⅱ度損傷

一部分が切れてしまった状態になれば「Ⅱ度損傷」。部分断裂しているので日常生活でもかなり痛み、広範囲にわたって腫れます。普通に歩けないくらい痛むので、さすがにこの状態であればスポーツを中断する必要性を感じるでしょう。 スポーツに復帰するには2〜3週間ほどかかります。捻挫だからと軽視してすぐに動き始めてしまえば回復はさらに遅れ、場合によってはかなり長期間違和感が残るということもあるので、Ⅱ度損傷以上になれば一定期間の安静が必要になってきます。

Ⅲ度損傷

完全に靭帯が切れてしまうと「Ⅲ度損傷」と診断されます。この状態であれば痛みで自ら日常生活や歩行を制限するでしょう。 スポーツを再開するまでには1~2ヵ月かかり、医療機関で集中的な治療が必要になることもあります。これは大怪我ですね。骨折以上に治癒まで時間がかかることも多く、注意してください。

足関節捻挫

 

捻挫の原因〜ランナーの場合

一般的には何かを踏んでしまったり、溝に足を取られたときに足関節が急に捻られて捻挫します。一般外傷としての説明は多く語る必要はないと思いますが、ランナーの場合はどうでしょう。直進運動であり、非対人スポーツなので誰かと接触することもなく、捻挫のリスクが高いスポーツでないことは確かです。

ただし、全くないかと言われればそういうわけではなく、道路の段差に足を取られたり、陸上競技場を走っていて縁石を踏むなんてことはあります。不整地、障害物の多い場所、暗くて地面が確認できないなどランニングする環境には十分注意してください。また、サイズの合わないシューズや消耗の激しいシューズも要注意です。足を守ってくれるはずのシューズが逆に捻挫の原因ってことになりかねないですからね。

あまり一般的には捻挫という認識をされていませんが、 ランニング中に足首にかかる負担にも要注意です。地面に足がついて体を支えた瞬間、足首には非常に強い負荷がかかります。足関節が強制的にぐにゃっと捻られるような形で足関節に負担がかかってしまうため、痛みが出ることがあります。他の痛みで治療院に来た方の足関節を触らせてもらうと、グズグズと緩んで正しく動かなかったり、動かすと痛みを伴って嫌がったりするケースが案外多いです。ランニングフォームによって衝撃の程度は違いますが、慢性的な捻挫症とも解釈できるので、足首に痛みや違和感が出る場合は少しこういった可能性も疑ってみてください。参考までに足関節にどんな負担がかかっているかがわかる動画です。ぐにゃっと潰れちゃっていますね・・・

 

捻挫の治療

捻挫の治療は重症度や損傷してからの経過時間によって異なります。

損傷の程度にかかわらず痛めた直後(急性期)にどういった治療を行うかは、その後の回復スピードを左右するので非常に重要です。捻挫の初期はRICE処置が重要なので、安静状態を作る(Rest)患部を冷やす(Icing)圧迫をかける(Compression)、心臓よりも高い位置にあげる(Elevation)といったことを大切にして下さい。捻挫してから2〜3日経つと安静にしていて出る強い痛みは落ち着いてきますが、 その後の治療方針は怪我の程度によって異なります。初期の段階でしっかり症状の程度を見極めて必要な治療方針を決めましょう。

※近年、RICE処置にかわる新しい「POLICE処置」という考え方が広がりつつあります。話が複雑化するため、それに関しては簡単に触れるにとどめ、より詳しい解説はPOLICE処置に関する記事をご覧ください。

 

Ⅰ度損傷の場合

初期のRICE処置を経て2〜3日経てば痛みも腫れもほぼ治まっていきます。日常生活や運動はほぼ支障なくできるようになってくるので、様子を見ながらスポーツ復帰はOKです。ただし、 捻挫したという事実が消えるわけではなく、靭帯が伸びた状態なので、関節は緩くなります。捻挫のリスクは高まり、これまで痛みが出ていなかった動作でも痛みや違和感を感じることがあるので、しばらくはテーピングやサポーターを使って足首を守ること重要です。その間に 足首周辺の筋トレを行なって緩んだ靭帯をサポートする筋を強化していきましょう。この地味な作業をおろそかにすると、大きな怪我に繋がることがあるので軽視しないことをお勧めします。

Ⅱ度損傷の場合

RICE処置の後もしばらく痛みが残ることが多いです。押すと痛い「圧痛」や、動かすと痛い「動作痛」が残ることがあるので、その程度によって安静をまだしばらく続けるか、少しずつ動かすかを判断します。最近では 長期間の安静は逆に関節が固まってしまってマイナスが多いという報告もあり、積極的に動かすように指示されることが多いでしょう。ただし、その場合であっても捻挫の原因となったひねる動きは行わず、足関節を曲げる/伸ばすといった動作が中心になります。片足に体重をかける、歩く、走る(ジャンプする)というように負荷を段階的に上げていくきながら少しずつできることを増やしていきましょう。足関節周辺のトレーニングも非常に大事です。チューブを使ったトレーニング、ボールを使ったトレーニングなど、かなり色々と考えらえるので、ぜひ積極的に行なってみてください。

Ⅲ度損傷の場合

Ⅲ度損傷は大怪我という認識を持った方がいいです。初期のRICE処置の後も引き続き2〜3週間固定しつづけ、安静を保ちます。Ⅲ度損傷の中でも程度の違いによって安静を保つための固定具は変わってきますが、テーピング、サポーター、場合によってはギプス固定など、何を使うかは整形外科のドクターの判断に従ってください。それ以降も不安定感が残る場合は足首の捻挫であっても手術を行うことがあります。ただし、手術の適応基準はまだまだ意見が分かれているのが現状です。手術を行うことのリスクとメリットを天秤にかけて、いくつかの選択肢をドクターは示唆してくれるので、自分の希望を伝えて最終的に手術を行うかどうか判断して下さい。

 

捻挫のリハビリ

捻挫は再発しやすいものです。程度にもよりますが、一度損傷を受けた靭帯は傷が残ってしまうので、怪我する前と完全に同じ状態にはなりません。したがって、リハビリをどれだけ丁寧にやるかは大きな課題です。ここを疎かにして痛みや違和感が残る方も少なくないので、しっかり取り組むことをオススメします。

今回はボールを使ったリハビリをご紹介します。細かいポイントは色々ありますが、足首にしっかり負荷をかけることを大切にしてください。

 

まとめ

 
「捻挫は軽症ではない!」

捻挫に関しての結論としては、これが一番伝えたいことかなと思っています。痛くて歩くのもきついという場合であれば重症の自覚は出てくると思いますが、軽傷だと思っても要注意!数日で痛みなく動けたとしても様々なリスクは残っているので、それをきちんと理解しておくことはとても重要です。また、走るという動作は自分たちが認識している以上に足関節に負担をかけています。慢性的な捻挫という言葉があるとすればその表現が一番しっくりくるのですが、ランナーにとって足首は様々なトラブルの元になるので十分注意してください。

今回は捻挫についてまとめていきましたが、正しい理解の上で必要な処置を行なっていきましょう。自己判断しやすい怪我でもあるのですが、大丈夫だろうと決めつけずにしっかり医療機関に行くようにしましょう。

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June 4, 2019/怪我・故障/

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