足の裏の痛みにはこれ!
『足底力』強化のためのトレーニング

「足の裏の痛みがなかなか引かないんです・・・」

現場にいると、非常によく聞く悩みの一つです。 足底腱膜炎に代表される足の裏の怪我は名前が付いているもの(原因がはきりしているもの)だけにとどまらず、非常に多くの悩みが出てきます。足の裏は地面と唯一接する場所であり、体重を支える重要な部分。足の裏には様々な機能がある反面、現代人は大事な足の裏の機能が低下していると言われています。

今回はそんな足の裏の機能、すなはち「足底力」を強化&回復させるトレーニングを紹介していきたいと思います。「足底力」という言葉が正式な言葉としてあるのかどうかはわかりませんが、とある論文では”地面を踏み込む力”とほぼ同義で使われていました。また、ある治療家は”足の指が挟む力”という意味あいで使っていたのも確認しています。

今回この記事内では広義的に「足の裏の機能」という意味で使っていきたいと思ってます。これに関してはおそらく議論の余地があるでしょうね。悪しからず。。。

 

 

「足底」とは?

人間の足底は地面と唯一接する面です。人間の体に対して足底面は非常に小さいので、体を支えるために様々な工夫がなされています。日常生活の上でも、スポーツの場面においても、足底は非常に重要な役割を果たしています。

そんな足底の中でも、特に荷重がかかるポイントが「親指の付け根」「小指の付け根」「かかと」の3点。デコボコした道を歩くような場合には、この3つの荷重点にかかる負荷の割合を器用に変えるので、人間はバランスを保って上手に歩くことができます。

足の3つの加重点

この3点に正しく荷重されなくなると、足部の怪我のリスクが高まってしまいます。 こういった状態が「足底力」が低下している状態。まずは自分の足底がどれくらい正しく使えているかチェックしてみましょう。その確認のエクササイズがチューブを使った3点荷重のチェックです。

 

《チューブを使った3点荷重のチェック》

▼方法
・2〜3mほどのゴムチューブを用意する(あまり張力の強くないものが好ましい)
・半分に折って曲がった先端をかかとで踏む
・残りの両端を母趾と小趾の付け根で踏みチューブを引っ張ってテンションをかける

▼チェック項目
・足底で3点に加重した状態を保ったままスクワットや片足立ちなどのエクサイズを実施
・荷重が分散してしまうとチューブが外れてしまう
・チューブをしっかり踏んだままエクササイズができるかどうかを確認する

正しく立ったり、歩いたりする上で、どんな風に足の裏を使っているかはとても大切なポイントになります。 チューブを踏んで片足立ちになったり、動いたりするだけでも荷重をかけるべき足底の3点を意識することができるので、確認としてだけでなく、普段のエクササイズとして行うのもよいでしょう。

 

足底に起こりやすい怪我

足部は荷重を集める部分であるからこそ、怪我が多いと言われてます。足部の圧痛点と怪我の相関関係をまとめたものが下の図です。こんなにたくさんあります(苦笑)より詳しく知りたい方は引用文献(『部位別スポーツ外傷・障害1 足・下腿』)をご覧ください。

主だったところだと・・・

《足底腱膜炎》
足底腱膜炎

《足部疲労骨折》
足部疲労骨折

《アキレス腱痛》
アキレス腱痛

《足関節捻挫》
足関節捻挫

詳しい話はリンク先の記事をご覧いただきたいのですが、ここに挙げただけでも足部にはトラブルが多いことがわかると思います。しかも、 足底には日常生活動作の「立ち」「歩き」などの影響によって常に荷重がかかるため、痛めたところを完全に休めることが難しく、これも怪我が長引く大きな要因となってしまいます。

「足底力」を高めるトレーニングは、何か特定の怪我に対して行う特別なリハビリではなく、足部にかかわる様々な怪我に共通して行うべきエクササイズです。怪我のリハビリはもちろん、普段の補助トレーニングとして行うこともお勧めします。

 

足の構造

具体的なトレーニングに移る前に、足の構造について簡単に要点を押さえておきましょう。足はとても複雑な構造をしています。全て理解することはなかなか難しいですが、その中でも特に大事なポイントをまとめてみました

荷重時における負荷の分散

足関節から下の足部には26個の骨が存在します。人間の骨の数が約200個(個人差あり)と言われているので、足を構成する骨の数は総骨数のおよそ13%にも及びます。ちなみに、 手の骨は27個あるので、四肢末端にあたる「手」と「足」だけで、実に人間の骨の1/4を占めていることになります。手足がいかに特殊な構造をしているかがこのことからもわかると思います。

もちろん手足の骨は小さな骨に過ぎませんが、あえて一つの塊の骨にならずに小さな骨の集合体として成り立ってきたのには大きな理由があります。

このように、骨が細かく分かれていることで、負荷を分散させることができます。一つモデルを出して考えてみたいと思うので下の図をご覧ください。下図の左側は大きなひとかたまりの骨をイメージしたモデル、そして、右側は細かく27個に骨を分解して繋げたモデルです。二つのモデルを上方からぎゅっと押しつけてみましょう。人間の体でいうと、体重がかかったような状態ですね。一目瞭然! 左のモデルは骨がひずむことなく体重を受け止めているので、骨に直に衝撃がかかかっているのがわかります。それに対して右のモデルは上からの圧力を骨同士の隙間に逃しているので、それぞれの骨にかかる負担が小さくなっています。

足の骨がひとかたまりではなく、小さな骨の集合体になっていることで骨同士がその隙間で微妙に動いて衝撃を吸収し、クッションのように作用します。怪我を防ぐために体(足部)が自ら兼ね備えた構造的工夫のようなものですね。

足部にかかる「ねじれ」の動き

こちらもイメージは難しくないと思いますが、小さな骨が集まることでたくさんの関節が形成されるので、「曲がる」「ねじれる」といった動きが可能になってきます。足の裏が細かく動き、微調整ができるからこそ、足の裏でバランスをとったり、踏ん張るといった動作ができるようになってきます。 実際にランニング中はこの「足部のねじれ」が効果的に作用することで強い蹴り出しが可能になり、前への推進力を生んでくれます。

少し古い資料になりますが、「世界の中長距離」と言うサイト内で接地に関する考察が書かれていました。記事内のものとは少し違う視点で接地の瞬間を分析しようと思うのですが、地面に足がついてそれが離れるまでに足のねじれが効果的に作用していることが写真からも見て取れます。

実際に練習直後のランナーの足を触らせてもらうと、足の裏のねじり動作をやろうとした際に極端に痛がる方が相当数います。これは練習によって足にねじれのストレスがかかっていた証拠。足底の機能を見ていく上ではとても大切なポイントです。

アーチ構造

足の骨の構造でもう一つ特殊なものがあります。それがアーチ構造。力を分散させるためのもう一つの工夫ですね。足自体がべたっと平面であれば、細かい複数個の骨になっていたとしても、衝撃が骨に直接かかってくる比率は大きくなってしまいます。しかし、 足の裏にアーチ構造ができていることによって、衝撃が分散され、強い圧にもしっかり耐えられるようになります。

足のアーチ構造

足部のアーチ構造についても別記事に書いてあるので、詳しくは以下の記事をご覧ください。

《足部のアーチ構造》
アーチ構造

 

「足底力」とは

さて、ここまでの話を踏まえた上で「足底力」というものを考えていきましょう。繰り返しになりますが、あくまで便宜上の言葉だと思ってください。理解しやすいように使っていきます。

「足底力」を端的に表すらなら、足の裏の力です。強い/弱いという意味における力ではなく、 本来の能力をどれくらい使えているかと言う意味での能力と捉えてください。足底力が低下している状態とは、本来足底が持っている力を十分に使いきれていないということです。使えない理由は様々ですが、それを放置したままトレーニングを続ければ、いつかはどこかで怪我に繋がる可能性は高く注意が必要です。あるいは 怪我しなかったとしても、本来発揮できていたはずの力が出せないままで走っているということになりかねません。

では具体的にどういった力でしょうか?それは・・・

(1)足の『骨』が正しく動いている
(2)足の『筋』が正しく機能している
(3)足の『関節』が正しい位置関係にある

です。本来足部を構成する骨は一つ一つが独立してきちんと動く構造をしています。そのような骨の動きが低下してしまうと足底力は下がってしまいます。また、骨と骨をまたぐように発達している筋は非常に細かく、これも固まったり、弱化したり、動かせなくなっているケースがとても多いです。足は本来よく動くものなので、そう行った力を取り戻していきましょう。

 

「足底力」を改善するためのトレーニング

ここからは「足底力」を改善する具体的なトレーニングについてです。足の『骨』『筋』『関節』を意識して行なうようにして下さい。意識するポイントは突き詰めればたくさんありますが、まずは動かない足を動かすというところからスタートするだけでも十分です。実際にやってみて、「この動きが難しい」「この動きをやると痛い」などいろんな反応が起こってくると思います。そうなった時に自分の体の課題に改めて気づくでしょう。

《足底力強化のためのトレーニング》

▼足趾の背屈
・通常の立位姿勢で出来るだけ指が浮く様につま先を反らす
・指を地面につけた状態でかかとを浮かせる形で指を反らせる

▼足趾の底屈(爪先立ち)
・足の指を曲げてグーを作る
・指先を支点にして爪先立ちする様にかかとを浮かせる

▼足趾の外転(拇指に荷重した状態で足趾を開く)
・母趾でしっかり地面を踏み込む
・その他の四趾を出来るだけ外側に開く様に動かしていく

▼足趾歩き
・足趾を曲げながら前に進んでいく

▼リスフラン関節のストレッチ
・かかとを押さえて固定する
・前足部がねじれるようにストレッチをかけていく

▼ショパール関節のストレッチ
・足関節が曲がる部分に両手を合わせるようにしてセットする
・足部を握って雑巾を絞るように互い違いに動かす

▼足趾じゃんけん(グー&パー)
・出来るだけ大きく足趾を開閉する
・足の指で「グー」と「パー」を作るイメージ

上記のエクササイズは、足底力の低下に対して行うべきエクサイズの一例です。一般的な方法なので、万人に共通して行うべきものを集めました。 もし、症状が強かったり、足底力がかなり低下している場合はこれだけでは不十分な可能性もあります。個別評価の上で必要なものを処方する必要があるので、医療機関にかかるようにしてください。

 

まとめ

「足底力」は自分たちが思っている以上に低下していることが多いです。そして、この部分を改善せずにトレーニングを行ったり、フォームの変化を起こそうと思ってもなかなかうまくいきません。

何事も順序は大切です。崩れた足底のままでトレーニングを行っても、本当に求めている効果が期待できないことも多いので、こう行った基本のトレーニングに立ち返ってみるのも大切ではないでしょうか。ぜひお試しください!

 

 

 

September 6, 2019/怪我・故障/