【ランナー専門治療院&トレーニングスタジオ】ランニングクリニック

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『足爪浮き』や『爪の内出血』などの対策はできてますか?
ランナーを悩ませる爪のトラブル!

ランナーが抱える、密かな(でも大きな)悩み。それは爪のトラブルです。

肉離れや捻挫などに比べれば目立たないトラブルかもしれませんが、実はランニングに大きな影響を及ぼしてしまいます。ところが、ランナーに爪のケア実施状況を聞いてもあまり良い返事は返ってきません。

「何をすればいいかわからない」
「とりあえず我流でなんとなくやってる」

決して軽視していいものではなく、もっと知識や対処法、トラブルの予防法を知っておいた方がいいのは間違いありません。

日本では、どうしても爪=美容というイメージが強いのですが、爪のケアはとても大切です。今回はそんな「爪のトラブル」について、解説していきたいと思います。

 

 

爪の構造

爪のお話を進めていく上でどうしても必要になってくるのは爪の構造についての知識です。もちろん詳しく知る必要はありませんが、最低限の知識があった方が理解も深まります。

少し小難しい内容も含まれますが、脱落せずにぜひ読み込んでみてくださいね。

そもそも爪は何でできているの?

さて、そもそものお話からになりますが、爪は何からでいているのでしょうか?

世間的なイメージ?なのか定かではありませんが、稀に「カルシウム」という回答を耳にすることがあります。残念ながらこれは不正解。”硬いもの”とか”歯”から連想してその答えにたどり着くのかもしれませんね。

爪の主成分は「ケラチン」という繊維状のタンパク質です。爪全体の約80%はこのタンパク質からなり、残り20%のうち12〜16%が水分、残りは炭素、酸素、脂肪などだそうです。
(※水分量は、外的な環境により増減する)

また、人間の手の爪は完全に生え変わるのに3ヶ月〜6ヶ月、足の場合は手の爪以上に生え変わりに時間がかかります。
(※手の爪は健康な成人で0.1mm/1日、足の爪は0.05mm/1日)

もし、トレーニングで足の指の骨が欠けてしまった場合、爪が育つためには一定期間が必ず必要になります。レース当日にベストパフォーマンスを発揮するためには、かなり前から爪を大切にしなければいけず、もし直前に何かトラブルがあればそれを取り返すことは基本的に不可能になってしまいます。

「爪くらいなんとかなる・・・」と思うのはちょっともったないですよ!パフォーマンスに与える影響は小さくないので。

爪の解剖学

熱心なランナーさんであれば、筋やバイオメカニクスについて非常に詳しい方がたくさんいますが、爪に限っていうと詳しい方は少ないのではないかなと思っています。やや細かいお話になりますが、爪の解剖についても少し触れておきましょう。

爪として一般的に認識されている表面に出た部分は「爪甲」と呼ばれます。美容目的でネイルを行うのは、この「爪甲」の表面です。

また、爪は表面から見える部分だけでなく、皮膚に埋もれたところも爪です。このような爪が生える部分のことを「爪根」と言います。髪の毛が生える部分を「毛根」と言うので、この言葉は理解しやすいですね。

爪は一生伸び続ける組織ですが、その爪が生まれる場所は「爪母」と呼ばれ、ここから指先に向かって伸びていきます。この爪母が損傷すると爪の発育に影響をよぼすため、爪がななかなか伸びてこない場合は、ここの異常も考えられます。

そしてもう一つ覚えておいた方がいいのは「爪床」という部分です。「爪床」とは爪と指がくっつく部分のこと。表面から見ると少しピンクがかっているので、すぐにわかりますね。さらにその先にすすんでいくと爪は白くなっていますが、そこは皮膚と接触していない部分です。爪を切る目安にする方もいますが、実はそれは間違った切り方なのでご注意ください。詳しくは後述します。

3層構造になっている爪

爪の断面を詳しく見てみると、3つの層が重なるような構造になっています。それぞれの層は線維方向が直交する様に重なっているのですが、爪のケアを行う際にこの3層構造を意識しないと、誤ったケアを行いかねません。

詳しくはケアのところで後述しますが、一般的な爪切りで切ってしまうと、この3層が露出してしまって層と層の間に空気が入りこんで剥がれやすくなってしまいます。爪切りを使う場合は、爪へのダメージが大きくなるので注意が必要です。

 

爪の重要性

爪がないとモノがつかめない!

指の骨は実は指先まで到達していません。指の先端は「お肉」だけなので、もし爪がなければ「もの」をつまむことが非常に難しくなってしまいます。

箸を想像してもらうと、イメージしやすいかもしれませんね。箸を使えば様々な食べ物が掴めますが、それは木材やプラスチックなど硬い材料によって作られているからです。もしこの箸が柔らかいスポンジのようなもので作られていたとしたらどうでしょう。おそらく食べ物をつかむのが非常に難しくなります。ものを挟んだりつまんだりするには、”硬さ”が必要ということがここからもわかります。

爪にお話を戻すと、「深爪」になるような爪の切り方をすると、先端まで爪が及ばず指先は柔らかくなってしまうので、ものがつまみにくくなります。これも箸の例えで説明がつきますよね。爪は非常に重要な働きをしています。

爪がないとしっかり踏ん張れない

足の指も同様の現象が起こっています。

足の指は体重を支える上で非常に重要な役割を担っています。踏ん張ったり、地面に力を伝えるためには、爪の存在が非常に大切なのです。爪がないと、本来踏ん張って力を伝えるべきはずの行為ができません。力がうまく伝わらないために、かばうような格好になってしまい、姿勢の歪みからくる諸症状の原因にもなります。頭痛・肩こり・腰痛・膝痛・O脚など、実は「爪」が原因なことも少なくありません。それくらい爪は重要ということですね。

爪にまつわる様々なトラブル

爪にまつわるトラブルは非常に多岐に渡ります。

爪周囲炎、貫入爪、巻き爪、肉芽、菌感染、扁平足、足底腱膜炎、浮き指、体重増加、などなど直接的に影響するものから、間接的に影響が及ぶものまで様々。爪のトラブルだけに止まらず、場合によっては観血的な処置(手術など)が必要なこともあるので、注意が必要です。

そんな中でも、日頃からぜひ気をつけてほしいのは「深爪」です。あまり深刻に捉えられていないかもしれませんが様々なトラブルの元になってしまいます。深爪の場合は、爪が伸びる過程で指の先端のお肉が上に押し上げられ、結果的に爪が伸びなくなってしまうこともあります。

正しい爪の切り方を十分に理解して、爪のケアを行う様にしてください。

 

日常的な爪のケア

では、どのようにして爪をケアしていけばよいのでしょうか?

特別なケアをやることも時には必要ですが、まずは自宅で普通にできるケアをご紹介したいと思います。これまで気を配ってなかった方はぜひ意識して実践してみてください

正しく爪を切る

まず正しい爪の切り方からご紹介していきます。多くの方は爪切りの丸みに合わせて爪の白い部分を全て切ってしまいがちです。しかし、それはNG!ご存知でしたか?

白くなっている部分は爪と皮膚がくっついていないところなので、白くなっている部分を目安に爪を切ってしまうと、深爪になります。深爪になると爪で覆われていない部分が指先にできるので力がうまく伝わりません。爪を切った後に何か物をつかもうとしてうまくいかなかった経験はありませんか?それって爪を深く切りすぎているからなんです。

正しくは指の肉が見えるか見えないかのギリギリのところで切ります。爪の根元と平行にして真っ直ぐ切ることも大事なポイント。爪切りはなるべく使用せず、爪用ヤスリで真っ直ぐ整えると爪に負担がなく、切りすぎ防止にもなります。どうしても爪切りを使用する場合は、爪切りのラウンドしている所は使用せず、両端の鋭い部分を使って整えるようにしてください。

汚れをきれいにおとす

足の爪はとくに汚れがたまりやすい場所になります。ランニング中の汗や靴下の糸クズなどはもちろんの事、お風呂に入って体を洗った時に、意識しないと足の指周辺に石鹸が残ったままになっている事も少なくありません。

足の爪周辺が不衛生だと、それだけで爪自体の機能性が落ちてしまいます。指間、爪溝、爪裏までよく洗い、しっかりとお湯やお水で石鹸を流してください。入浴後は爪も柔らかくケアしやすいのでお手入れはこのタイミングがオススメです。上述したように、爪は3層構造なので断面が露出しない様にヤスリは斜め45度に傾けてかけるようにしてください。

爪の保湿をする

爪は80%がケラチンでできているとお伝えしましたが、その次に多く含まれる成分が「水分」です。爪自体が乾いてしまうと傷みやすくなるため、なるべく保湿して乾燥しないように心がけましょう。

市販の保湿クリームやオイルを使っても構いませんが、専用のケア用品などもあります。必要に応じてご自身に合うものを使ってみてください。

 

専門的な爪のケア

爪が欠けたり、生えてこなくなったりと、明らかに自分の手に負えない場合は、専門家にケアをお願いする事も必要になってきます。爪は皮膚の一部なので、何かあれば皮膚科の専門医にしっかり相談するようにしましょう。

また、「爪の専門家」と言ってすぐに思いつくのが「ネイリスト」ではないでしょうか。日本ではどちらかというと美容のイメージの方が強いですよね。しかし、野球のピッチャーなど爪の手入れの必要性を意識しやすいスポーツでは、昔からネイリストに委ねる選手もいました。

ランナーにとって足の指の爪の重要性は意識しづらいですが、パフォーマンスに影響を与えているのは間違いありません。痛みが出たら何か処置をするというのではなく、普段のストレッチなどと同等に爪のケアに時間を割くことも必要かもしれませんね。

最近ではアスリートの爪の手入れに特化した「アスリートネイル」も徐々に浸透しつつあります。ご自身の爪の状態を見ながらセルフケアを徹底し、必要に応じて専門家へ相談するようにして下さい。

 

まとめ

今回はランナーに多い爪のトラブルについてまとめていきました。

非常に細かい内容になりますが、とても重要なお話です。爪が血まみれになるランナーはこれまでたくさん見てきましたし、自分も経験してきました。「爪」をテーマにした内容は、皆さんのランニングにとって役立つ情報にな流のではないかなと思っています。

ちょっとした心がけで爪を正常に保つ事もできますし、そのために正しいケアの仕方をぜひマスターしてください。

【取材協力者】
アスリートネイル協会 代表理事
辛川知美

November 30, 2019/怪我・故障/

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