ランナーのための減量テクニック〜栄養バランスを考えた正しい減量方法とは?

「体重が1kg減れば、フルマラソンが3分速くなる」??

よく耳にする言葉ですが、走りに直接関係のない ”重り ”は外して走りたいのは誰もが思うものではないでしょうか。そして、自己記録を更新できればその嬉しさは格別なものになりますよね!

今回はそんな減量(ダイエット)をしながらも記録更新を狙いたいランナーが、どんな栄養バランスにすれば理想の走りにつながるのか?をお伝えしていきます。

 

減量の基本は『ゆっくり』と

前回の記事では減量をする時の『スピード』についてお伝えをしました。パフォーマンス向上を目標として減量をされる場合には、『ゆっくりとした減量』が推奨されることをお伝えしました。何故なのかは、是非そちらの記事もご覧下さい。

体重が落ちれば本当に良いのか? 記録向上を目指すランナーのための減量方法とは?

そのスピード感を意識しながら、実際にどのような食事を取ればよいでしょうか?

昨今はダイエットに効くと謳う栄養成分も目立つようになってきましたが、それでも減量に重要にな栄養素は三大栄養素になります。 ″栄養の基本″だからこそ、しっかりと理解を深めることが理想の自分を作るための基礎となっていきます。

 

三大栄養素とは?

では、その三大栄養素はどのような栄養素なのでしょうか?

様々な栄養素がある中で、三大栄養素は直接エネルギーとなる(エネルギー源)栄養素になります。体重の上下動は水分などの出入りも含みますが、基本的には摂取と消費のエネルギーバランスによるものになります。そのエネルギーバランスを左右する栄養素が三大栄養素になります。具体的には炭水化物、たんぱく質、脂質の3つを指します。まずはこれらが身体でどのような役割を果たすのか、確認していきましょう。

炭水化物は ”即効性” のエネルギー源

私たちが生きている間は、常に体内でエネルギー消費が行われています。エネルギーの使われ方は様々ですが、その中でも炭水化物はランニングなど、比較的負荷の高い活動をする際に多く使われるエネルギー源になります。マラソンのラストスパートなどで急にスピードを上げたり、重たい荷物を持ち上げたりなど、”急に動かす”ような動作では利用が特に顕著になります。負荷が低くほとんど動かないデスクワークでも、”着火剤”のような役割で少しずつ使われます。そのため、1日の活動の内容・量によって炭水化物の必要量は変化してきます。また、炭水化物は体内にたくさん貯めておくことができないため、ある程度消費した段階で摂取していく必要があります。

炭水化物は、ご飯やパン、麺などの『主食』と呼ばれる料理から主に摂ります。他にもサツマイモやカボチャといった根菜類や、減量の大敵でもあるアイスやデザート、菓子パンといった甘いものにも炭水化物が含まれます。ただ、砂糖などの『強い甘さ』を感じる炭水化物(糖類)は要注意。同じ炭水化物ではあるものの、ご飯やパンなどと比べて吸収が早く、食後の血糖値を急上昇させてしまいます。その結果インスリンが大量に分泌され余分なエネルギーが中性脂肪として蓄えられてしまい、肥満の原因になってしまいます。

減量にストレスが大敵。程よく食べる分には問題ありません炭水化物の量が同じだからといって、ごはんの代わりに菓子パンやデザートなど甘いものを積極的に食べる事は控えた方が無難です。

脂質は ”ゆっくりとした” エネルギー源

一方、脂質は炭水化物と違い、比較的ゆっくりとしたエネルギーになります。普段の生活で体を動かす強度が低い時、多くに用いられます。それと同時に ”着火剤” の役割として炭水化物が少量交じり合い、”ハイブリッド燃料” として利用されています。ランニングのように動く強度が高くなるにつれて、ゆっくりとした脂質の燃焼スピードでは間に合わなくなるため、即効性の高い炭水化物の混合割合を高くするようになります。脂質の混合割合が低くなるから燃えにくくなるという訳ではなく、ランニング時は消費量が圧倒的に多くなるため、結果としては脂質の消費に大きく貢献するものになります。

また、エネルギー源としてだけでなく、細胞を保護する膜や様々な情報を伝達するホルモンの材料としての役割も果たしています。そのため、「体脂肪がたくさんあるから、私はいらない」という訳ではなく、減量時でも最低限の新しい脂質を摂ることが必要になります。

その脂質はバターやドレッシングを始め、肉類の脂身、クリームやクッキーなどの菓子類に多く含まれます。脂質も炭水化物同様に細かく種類分けすることができますが、いずれの脂質でも量のバランスは体重管理に影響をしていきます。どの料理・食材に多く含まれるのかを1つ1つ覚えていきたいですね。

身体を ”支える” たんぱく質

たんぱく質は基本的に心臓、骨、筋肉、その他の内臓の骨組みとなる材料として機能します。また、眼に見えないレベルでは様々な栄養素の消化・分解、合成を酵素として促進したりや、血中や細胞では鉄や酸素、脂質などを輸送体として運搬したり、様々な機能を担って身体を支えています。

たんぱく質は通常このように働いていますが、運動中などでエネルギー需要が足りなくなってくると、優先順位を変えてエネルギー源として活用されるようになります。たんぱく質を肝臓で一度バラバラにし、その一部の部品から糖に作り替えて血糖としてエネルギー源に変化していきます。このようにたんぱく質が糖として生まれ変わる過程を『糖新生』といいます。この糖新生を理解しておくことは、減量だけでなくランニング・健康の様々なシーンで重要になるキーワードでもあります。

たんぱく質は筋肉などの材料でもあることから、肉類や魚介類、卵類、乳製品といったの動物性食品に比較的多く含まれます。また、その質も良いことからこれらから多くのたんぱく質を摂ることが大事になります。一方、ご飯などの植物性食品にもたんぱく質は含まれます。動物性食品のたんぱく質よりかは多少質が劣りますが、ご飯+卵といった質の良い動物性食品と一緒に食べることで、質の劣る部分を補ってくれる効果もあるため、植物性食品のたんぱく質もとても大切になります。「ステーキたくさん食べるぞ!!」といった偏重ではなく、「肉 on the ライス」のイメージでバランスよく食事ができるといいですね!

 

減量時の三大栄養素のバランス

三大栄養素、それぞれの役割などをチェックしたところで、実際にどのようなバランスを意識するとよいのか?ただ減らすだけでないことも記してありますので、1つ1つ確認していきましょう。

➀ たんぱく質を ”多め” に

そう、”多め” なんです!

「減量なのにたくさん食べるの?」と思った方もいらしゃるかと思いますが、減量時は普段(体重維持状態)に比較して多くたんぱく質を摂ることが大切になります。先ほどもお伝えしましたが、減量時はその時々によってエネルギー需要が足りなくなる時もでてきます。その際、多少なりとも糖新生が増えることが考えられます。その消費分を補うことなどを理由に、たんぱく質を多く摂る必要が出てきます。

とは言え、1食で400gのステーキを食べることや、プロテインを毎食飲むといった ”過度” な量を食べる必要はありません。普段よりも ”多め” のたんぱく質、食材で言えば肉類・魚介類・卵・乳製品・大豆製品、料理で言えば主菜を食べるようにしましょう!

② “程々” の炭水化物を

最近では低炭水化物ダイエットが知れ渡っていることから、ランニングをしながら更に低炭水化物ダイエットでご飯を全く食べない方も散見されます。フルマラソンの記録更新を目指すのであれば、基本的には炭水化物が必要になります。かと言って、炭水化物を食べ過ぎてしまえば、これまでのようにオーバーウェイトに悩まされる羽目になります。

減量を達成しながらも記録更新を目指すためには、炭水化物の量を調整して、”程々” の量を摂るようにしましょう。「調整」という言葉を用いましたが、これは減らす方もいらっしゃれば、炭水化物も増やす方も中にはいらっしゃるためです。また”程々”という曖昧な言葉を選んだことも、個々人によってその適正な量が大きく異なるためです。

減量目的で炭水化物を大きく減らし、その状態が長期間続くとRED-S というエネルギー不足状態になります。これはパフォーマンスの低下、疲労骨折、女性では生理不順につながるリスクを表しています。減量時の炭水化物が少ない状況では、これらのリスクを頭に入れて普段の食事で炭水化物を摂ることが大切になります。

ランナーの減量時の炭水化物の調整は、三大栄養素の中でも最も大切だと言っても過言ではないと思います。それだけ、良い方向・悪い方向の結果への結びつきが深い栄養素になります。自己判断ではなく、専門家にしっかりと食事状況を把握してもらってアドバイスを貰うようにしましょう。

③ 脂質で微調整

たんぱく質・炭水化物の量の目安が決まったところで、脂質でエネルギーバランスを整えていきます。通常の減量であれば、脂質が多い料理・食材・調理法の各方面からをうまく脂質量を調整していきます。料理で言えば菓子パンやアイス・デザート、食材で言えばバラ肉やウインナーなどの加工品、調理法で言えば揚げ物など。他の食事で代替が可能なものから優先的にシフトしていくといいでしょう。

脂質をカットし過ぎてしまうと、食事のバリエーションが損なわれてしまうので、極端に制限をすることもありません。減量はゆっくりと行っていくものなので、長期戦にもなります。ストレスを極力なくして継続できる ”減量食スタイル” を確立していきましょう!

 

しっかり食べて痩せよう!

いかがでしたでしょうか?これまで「食べない減量」をしてきていませんでしたでしょうか?キャベツの千切りだけ、のような食べない減量法では筋肉の減少を伴なうため、減量できたとしても、痩せにくく、パワーの出ない身体になってしまいます。走るための筋肉、そしてエネルギーを保ちながら走るためにも三大栄養素をバランスよく摂り、“二兎を追って二兎を得る” 荒業を成し遂げましょう!

February 7, 2020/栄養・サプリメント/