貧血『徹底解説』!
貧血の改善と予防方法のブラッシュアップ!!

「練習を頑張っているのに伸び悩む、記録が低下する」
「トレーニングで何十キロも走るのに、階段を上っただけで息切れしてしまう」
「何だか最近疲労が抜けにくい」

こんなお悩みありませんか?それってもしかしたら「貧血」かもしれません。

長距離ランナーにとって貧血は身近な内科疾患の一つです。 その割にはなかなか気付かず、単に体調不良だと決めつけていつも通りにトレーニングを続けてしまうことは少なくありません。体調が悪い中無理やり頑張るといのは決して美談ではなく、体からのサインは決して無視してはいけないものです。体調不良を放置して練習を続けた結果、症状が徐々に進行し、気が付いた頃には重い貧血症状になっていることもしばしば。これってとても大きな問題です。

重度の貧血の場合、適切に処置をしても完全回復に半年以上かかることもあります。 現在、日本陸連では医師の指導のもとで治療を行うことが推奨されていますが、貧血の兆候を察知して早めに治療を開始したり、予防したりすることは不可能ではありません。

そこで今回は貧血の仕組みを解説していくなかで、練習を継続しながらどのように改善・予防していけば良いかの実践例をご紹介しようと思います。知らなかった知識、あいまいな情報はぜひ正しく理解しましょう。貧血になりやすい夏はとくに要チェックです!

 

貧血とは?

血液は血管の中を流れ、体の各組織に酸素栄養素など様々な物質を組織に供給したり、組織から不要となった老廃物を受け取って運んだりしてくれるも大事な体液です。成人男性であれば体重のおよそ8%(女性の場合は体重の約7%)が血液と言われているので、体重65kgの男性の場合血液は5kgほどの重さになる計算になります。体を構成する重要な物質であることはここからもわかりますよね。

貧血の場合はこういった血液にトラブルが起こります。血液はいわば、荷物を運んでくれる“運送業者”。体が正常に機能するためにはとても重要なものであり、その中でも、『酸素運送専門の運送業者』として体の隅々まで酸素を届けてくれるのが『赤血球』です。文字通り赤い色をした球状の物質で、貧血を正しく理解する上ではとても重要な物質です。

赤血球の中にはヘモグロビンという赤い色素を持ったタンパク質が含まれています。ヘモグロビンはヘム(=鉄+ポルフィン)グロビン(=タンパク質)が複数合わさることでできており、このヘモグロビンに酸素が結びつくことで、酸素が体の隅々に運ばれていきます。

このヘモグロビンが不足してしまうと体内の様々な細胞に酸素を運ぶ能力が低下してしまいます。その結果、酸素がうまく行渡らなくなり、組織は“酸欠”状態になってしまうのですが、 酸素不足になった体はエネルギーをうまく作り出せず、様々な症状が起こってしまいます。この状態の事を『貧血』と言います。

貧血の原因

貧血は大きく分けて 3つの段階での異常が積み重ることで起こります。

『作る』異常

貧血の最も大きな原因となるのが、この『作る』異常。

酸素を運ぶ赤血球(ヘモグロビン)は先ほどのお伝えしたように、ヘム(=鉄+ポルフィン)とグロビン(=タンパク質)が合わさることで作られます。赤血球は絶えず作られては壊され…を繰り返しているのですが、その 『作る』過程において必要となる材料が「鉄」「タンパク質」です。

さらに、その材料を合成して赤血球の形にまで仕上げるためには、「エネルギー」「ビタミンB₆・B₁₂・葉酸(合成促進)」といった栄養素も必要になってきます。実に様々な栄養素が必要になりますね、 その中でも特に不足しやすいのが「鉄」。食品から摂取しづらく、仮に摂取できても吸収率が悪いため、体は鉄不足に陥りやすくなっています。

鉄が不足すれば赤血球は必要な量を作ることができないため、貧血になってしまいます。このような貧血のことを「鉄欠乏性貧血」といい、貧血の中では最も多いものになります。

『壊れる』異常

赤血球は時間とともに、古くなったものを『壊して』作り変えていきます。 1日に約1%の赤血球が壊され、120日後には元からあった全ての赤血球が新しく生まれ変わるようになります。壊された赤血球に含まれる鉄の多くは体外に排出されることなくリサイクルされるため 、通常は『壊れる』場面においては鉄が不足してしまう心配はありません。

しかし、ランナーの場合は少し状況が異なってきます。ランニングで強く踏み込む際、足には歩行時よりも大きな衝撃が加わります。その際、足底の血管内で赤血球が押しつぶされて『壊れる』ことが多くなります。 このように赤血球が壊れる事を『溶血』と言います。長い距離を走るランナーは、この溶血作用が強く起こるため通常の赤血球のリサイクル循環よりも多くの赤血球が壊されてしまい、貧血のリスクが高まります。また、長い距離を走るランナー以外に剣道の選手も貧血を起こしやすいのですが、彼らの場合は踏み込みの際に足底を強く打ちつけるからです。

さらに、溶血を促す作用としては、脾臓から分泌されるリゾレシチンという物質があります。これはアドレナリンに反応して分泌される物質です。少し小難しい話ですが、簡単に言うと 体が興奮状態にあると溶血作用が促されると言うことです。

また、 体温の上昇も溶血を促すため要注意。運動によって体温が上昇している上に、夏の暑い環境の中だとより溶血が促進されるので、夏に貧血が起こりやすいのはこの為でもあります。このように、様々な要因が赤血球の『破壊』を助長しています。

『失う』異常

ランナーの場合はこれらのように『作る』『壊れる』異常だけでなく、体の中から『失う』ことも大きな異常として貧血の原因となっていきます。先述のように、通常、鉄は排出されることなくリサイクルされます。しかし、 ランナーは長距離走をする際に汗から鉄が溶け出てくるようになります。汗の量が多い夏場は『失う』量が多くなります。

また、腸の消化管から出血・便の潜血によっても鉄が失われていきます。女性であれば生理によるの出血も大きな損失につながります。そのため、女性は男性よりも貧血になりやすい傾向にあります。

このように、運動量が特に多いランナーは貧血が起こりやすく、症状が顕著になってからでは改善に長い時間を要することにもなりかねません。 貧血の形・原因も様々ですが、多くはこのようにして体内の鉄不足が原因となり、ヘモグロビンが少なくなる『鉄欠乏性貧血』になります。

貧血の症状

ランナーにとって貧血はなぜ大きな問題になるのでしょうか?それはランニングのパフォーマンス、そして普段の生活習慣までも大きく左右する要因になるためです。具体的にどんな症状が出てくるのか、普段のラン二ングシーンで起こり得る症状をピックアップしていきたいと思います。

JOG・ペース走のペースが上がらない

貧血の指標の1つで体の隅々に酸素を届けるヘモグロビンの濃度は、持久力の運動パフォーマンスを表す最大酸素摂取量(VO₂max)と相関関係があります 。 貧血によりヘモグロビン濃度が1g/㎗低下すると、酸素摂取量が約3㎖/min/kg低下するとされます。そのため、貧血状態が深刻になるほどランニングパフォーマンスにマイナスの影響が出てきます。

比較的ペースが速く距離も長く走るようなテンポ走やペース走で、ゆっくりのペースでも息が上がってくるように感じられます。これには前日のランニングによる疲労の残り具合や、その日の気候コンディション(気温・湿度・日差し・風・時間など)、エネルギー(グリコーゲン)の残り具合なども大きく関わってくるので、すぐに貧血だと断定するのは難しいですが、これまでのランニングの記録を振り返ったり、定期的に血液検査を行って状態を把握していくことで、貧血を早期に見つけるための有効な判断材料になります。

めまいや頭痛などの倦怠感

貧血状態になると体の酸欠状態が慢性化してきます。そのため、体の各組織がそれに対応しようとして様々な異常が起こることがあります 。その異常例として

 

全身:微熱
呼吸:息切れ
神経:頭痛、疲れやすい、倦怠感、
消化:吐き気、腹部不快感

などがあげられます。 これらの他にも、舌炎などの皮膚の異常や、爪の変形(スプーンネイル)土(土食症)や氷(氷食症)などの食品以外を好むような行動が見られることもあります。貧血特有の症状がある訳ではありませんが、普段とは違う何らかの異常を感じたらそのままにせず、体の中で何か異常が起きているのでは?と一度振り返ってみるといいでしょう。

※立ちくらみやめまいは一時的な血流不順(低血圧)による局所性貧血の場合もあります。

怪我のリスク増加

これらのような前兆を逃してトレーニングをしていくと、最終的には怪我のリスクの増加につながってしまいます。

ある実業団チームでは12年間で7人が靱帯断裂を引き起こしていました。その全員はヘモグロビン値が7~8g/dL前後の高度な鉄欠乏性貧血を抱えていました。靱帯を形成するコラーゲンは主にタンパク質で作られますが、形成過程で鉄やビタミンCなどが必要となるため貧血との繋がり強いものと考えられます。

また、 貧血により筋肉の機能も損なわれるため、今は何ともなくても長期的なパフォーマンス向上のためには常日頃から鉄分の摂取を心掛けることが大切だということが分かります。

 

貧血の基準

練習中や普段の生活の中で「おかしいな・・・」と感じたら、できるだけ早く専門家に相談してください。ただ、日本国内では貧血と判定するための統一基準がまだないため、医療機関によって基準は異なってきます。以下の数値は各団体・論文等で目安としている数値となり、他にも貧血判定に用いられる専門的な指標もあります。正確な判定には医師(できればランニングに精通した医師)から、直接指導を仰ぐようにしましょう。

ヘモグロビン値(血色素量)

貧血の判断で多く用いられる指標がヘモグロビン値。

日本医師会の診断目安では、男性は14g/㎗以下(18~14 g/㎗が正常値)、女性は12g/㎗以下(16~12/㎗が正常値)で貧血とされます 。個人差が大きいのでこの数値よりも低いと必ず症状が出るというものでもないのですが、一つの基準として押さえておくと良いです。一般的な貧血の血液検査ではこのヘモグロビンの値が重要視されます。酸素を運ぶ物質なので、これが大事であることは言うまでもありませんよね。

ヘモグロビンが低下すれば体の様々な組織に酸素が行き渡らなくなります。パフォーマンスの低下はもとより、日常生活でも息苦しさを感じたり、疲労感が強かったりします。ヘモグロビン値は貧血と関係が深いものなので、貧血検査(血液検査)では必ずチェックする項目の一つですね。

フェリチン(貯蔵鉄)

血液検査の時に重要な項目がもう一つ。それがフェリチン(貯蔵鉄)です。

実は貧血のような症状が出ているにも関わらずヘモグロビンの数値は”正常”というケースがしばしば見られます。貧血じゃないから大丈夫!とこれだけで判断して練習に戻るのは少し危険で、もしかしたら体の中に溜められている鉄が不足し始めているかもしれません。

人間は主に肝臓などにフェリチンという形で鉄を貯蔵しています。食事から十分に鉄が摂取されなくても、この貯蔵鉄を使えばヘモグロビンは維持され、ヘモグロビンは正常値を示します。ところがこの貯蔵鉄は食事から摂取する鉄と違って使えば使った分だけ減っていきます。

体内の鉄の需給バランスが崩れてきたとき、ヘモグロビン値が下がる前段階で “鉄のストック”の役割をもつフェリチンが少なくなってきます(=貯蔵鉄欠乏)。そのため、 フェリチンは貧血が深刻化する前の“鉄の不足状態”をみつけるために有効な血液指標としてよく用いられます。貧血の症状が疑われる時にはこのフェリチンの値に注目することがとても重要です。

国立スポーツ科学センター(JISS)の調査 によると、 ランナーの場合はフェリチン値が12ng/mLを下回ると“鉄欠乏”状態とみなされます。さらにいうと、女性ランナーを対象にした研究ではフェリチン濃度が20ng/mL以下でもパフォーマンスの低下がみられていたので、男女ともにランナーであればより高い数値を保つようにしておくことが大切になります。

ヘモグロビン濃度が低下する前でも鉄の摂取が不足している方に鉄の補給を増やすと、有酸素運動のパフォーマンスが改善されることから、 ヘモグロビンと併せてフェリチンも一緒に検査で確かめて食事やランニングを改めることが貧血の予防につながってきますね。

 

貧血予防のために ~栄養素編~

ここまで「貧血がどのようなものなのか?」原因~症状~検査といった目線で解説をしてきました。では、実際にどのようにして貧血の予防・改善をしていけばよいのでしょうか?

まず、「どのような『栄養素』を摂ればよいのか?」最も小さな『栄養素』の視点から見ていきたいと思います。

先述のように、貧血の主な原因となる栄養素は体内の鉄の不足になります。この栄養素を食事から補えばいい!というのはすぐに察しがつきますよね。

日本の食事摂取基準では、年齢や性別によって鉄の推奨量が異なってきます。トップアスリートになると赤血球・鉄の『作る』『壊れる』『失う』側面での負担が大きくなることが考えられるため、一般の方よりも多く摂取するべきであると考えも示される場合もありますが、 まずは、食事摂取基準の推奨量(18~29歳の場合、男性は7.0㎎/日、女性は10.5㎎/日)以上を摂取するようにして、最大20.0㎎/日まで食事からの鉄の摂取量を増やすとよいと考えられます。

食事から摂る鉄は動物性食品から摂るヘム鉄と、植物性食品から摂る非ヘム鉄の形で摂取されます。どちらも同じ「鉄」なのですが、非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率が悪い(非ヘム鉄:1~8%、ヘム鉄: 10~30%)ため工夫が必要になります。 非ヘム鉄の吸収率を高めるためには、ヘム鉄やたんぱく質、ビタミンCやクエン酸などの有機酸を一緒に摂ることで非ヘム鉄がヘム鉄に変換されて吸収率を高められますます。その他の栄養素のバランスを考えると、吸収率の良いヘム鉄だけでなく、ビタミンCや有機酸も摂れるような食材と一緒に非ヘム鉄も摂ることで効果的に鉄を補給できます。

エネルギー

貧血というと、「鉄」の摂取が非常に重要だという認識はかなり一般常識化しつつありますが、それと同じくらい・・・場合によってはそれ以上に大切なのが「エネルギー」の摂取です。そもそも貧血傾向にある人は食が細いケースがとても多いです。エネルギー摂取量が少なければ、大抵は他の栄養素の量も比例して少なくなりがちですからね。

鉄の摂取は非常に重要ですが、摂取エネルギー量自体を増やすことで解決する初期の貧血も実は少なくありません。「朝昼晩と食事をきちんと食べる」という基本的な食生活がとても重要だということです。

貧血が進行していった場合、貧血改善のために体重を増加させることをオススメすることもあります。食べることへの抵抗感や体重が増えることへの不安感もよくわかりますが、そこの意識を変えることは非常に重要ですね。

ランナーの場合、その日の練習内容によって消費カロリーはかなり変わるので、それに応じたエネルギー摂取量の調整も必要になってきます。長期的に貧血の改善に取り組む場合は、体重を管理しながら無理な減量が行われていないか?(1ヶ月に2kg未満の減量)を確認するようにしましょう。

たんぱく質

たんぱく質はヘモグロビンの材料としても鉄と同時に必要になる栄養素。ランナーは運動量が多くなるほど、たんぱく質を摂る必要量も多くなります。

持久運動選手の(ハードな練習日の)たんぱく質摂取推奨量は、体重1㎏当たり1日1.8gとされます 。スピードが比較的早いロング走(20㎞以上)などを行った日は、この数値を上限として摂取量を調整できると効果が期待できます。また、筋肉合成はトレーニングの翌日以降も進むため、ロング走を行った翌日もたんぱく質をしっかりと摂ることを心がけましょう。 休養日やJOGなどで運動量が落ちる日でも体の中では赤血球の作り変えなどが行われるため、体重1㎏当たり1日最低1.3gを摂るようにしましょう 。

ビタミンC

ビタミンCは腸内で植物性食品から摂取した非ヘム鉄(Fe³+をFe²+に変換)の吸収を促す効果があります。その他にも免疫力の維持、細胞の成長と修復などに関わる栄養素になります。

水溶性のビタミンなので摂りすぎても体の外に出されるのですが、実はビタミンCの摂り過ぎはトレーニングの効果を下げてしまう研究報告もあります。諸説ありますし、これに対しての否定的な見解もあるので、興味がある方はぜひ詳しく調べてみてください。

ただ、ビタミンCに限らず、栄養素はたくさん摂れば摂るほどいいというものではありません。体に良いと言われているものでも、限度があるので食事摂取基準の推奨量を目安に摂るようにしてください。

ビタミンB群

ビタミンB群(B₆・B₁₂・葉酸)は赤血球を『作る』際に必要となるビタミンになります。これらはあまり不足することのないビタミンのため、一般的なバランスの良い食事が摂れていれば問題ないと考えて大丈夫です。

 

貧血予防のために 〜食材編〜

どのような栄養素を摂れば良いか、理解できましたか?では、これらの栄養素はどのような食材から摂ることで、効率的に摂れるのか見ていきましょう。以下に、栄養素ごとのおすすめの食材をピックアップしていきます。

*各食材の後ろの数値は100g当たりの含有量を記しています。

鉄(たんぱく質)摂取のための食材

《ヘム鉄》
レバー(牛:4.0㎎ 豚:13.0㎎ 鶏:9.0㎎)、牛もも肉(2.4㎎)、豚もも肉(0.7㎎)、若鶏もも肉(0.6㎎)
イワシ(2.1㎎)、マグロ(2.0㎎)、カツオ(1.9㎎)、サバ(1.6㎎)、サンマ(1.3㎎)、ブリ(1.3㎎)、あさり佃煮(18.8㎎)、イワシ(水煮缶:2.6㎎)、サバ(水煮缶:1.8㎎)

《非ヘム鉄》
玄米(めし:0.6㎎)、蕎麦(ゆで:0.8㎎)、ライ麦パン(1.4㎎)
きな粉(7.9㎎)、レンズ豆(4.3㎎)、納豆(3.3㎎)、豆乳(1.2㎎)、木綿豆腐(0.9㎎)、絹ごし豆腐(0.8㎎)、卵(1.8㎎)
大根の葉(3.1㎎)、小松菜(2.8㎎)、水菜(2.1㎎)、ほうれん草(2.0㎎)、ブロッコリー(1.0㎎)、
干しぶどう(2.3㎎)、乾燥プルーン(1.0㎎)、ラズベリー(0.7㎎)、干し柿(0.6㎎)
アーモンド(3.6㎎)、クルミ(2.6㎎)

ビタミンC摂取のための食材

《野菜類》
水菜(82㎎)、玉ねぎ(79㎎)、カブの葉(55㎎)、大根の葉(53㎎)、アスパラガス(43㎎)、トマト(43㎎)、小松菜(39㎎)、ほうれん草(35㎎)、ブロッコリー(32㎎)

《果物類》
ゴールドキウイ(140㎎)、柿(70㎎)、グリーンキウイ(69㎎)、イチゴ(62㎎)、オレンジ(60㎎)、レモン果汁(50㎎)、グレープフルーツ(36㎎)、ラズベリー(22㎎)

ビタミンB群摂取のための食材

《ビタミンB₆》(18歳以上の1日の推奨量 男性1.4㎎ 女性1.2㎎)
レバー(牛:0.89㎎ 豚:0.57㎎ 鶏:0.65mg)、牛もも肉(0.44㎎)、マグロ(0.85㎎)、カツオ(0.76㎎)、サバ(0.65㎎)、サンマ(0.51㎎)、納豆(0.24㎎)、アスパラガス(0.22㎎)

《ビタミンB₁₂》(18歳以上の1日の推奨量 男性2.4㎎ 女性2.4㎎)
レバー(牛:52.8㎎ 豚:25.2㎎ 鶏:44.4mg)、しじみ(68.4㎎)、あさり(52.4㎎)、サンマ(15.4㎎)

《葉酸》(18歳以上の1日の推奨量 男性240µg 女性240µg)
レバー(牛:1000µg 豚:810µg 鶏:1300µg)、枝豆(320µg)、ブロッコリー(210µg)、ほうれん草(210µg)、アスパラガス(190µg)、豆苗(150µg)、水菜(140µg)

 

貧血予防のために 〜レシピ編〜

貧血予防のための栄養素→食材と、段階を追ってきました。これらの食材の中から、どんな料理が作れるか?私がオススメするレシピの中から一例をご紹介いたします。

レバーの味噌煮材料

《材料》
レバー 100g
生姜  1片(適量)
A
・出汁  1カップ (200㏄)
・砂糖  小さじ2 (6g)
・みりん  小さじ1 (6g)
味噌  小さじ4 (24g)

《調理法》

  1. 一口大にしたレバーを数分、水でさらして血を抜く。生姜は薄切り、または千切り。また、たっぷりのお湯を沸かしておく。
  2. 煮崩れ防止のために、レバーをお湯の中に入れて1分程火を通し、水気を切る
  3. 鍋にAを入れ、味噌を溶かす。そこに2のレバーを入れ、水気が無くなるまで弱火で炊く

《ポイント》

  • 冷凍保存も可能。
  • 普段のおかずに1品プラスしたり、おにぎりの具材にすると美味しく召し上がれます。

鶏もも肉の味噌漬け

《材料》
もも肉 300g
味噌  大さじ3(54g)
みりん 大さじ2(36g)
酒   大さじ1(15g)
醤油  小さじ1(6g)
生姜  少々

《調理法》

  1. 予め漬けておいた鶏もも肉を、油を引いたフライパンに蓋をして弱火で焼く
  2. 火が通ったら、カットして盛り付ける

《ポイント》

  • アレンジとして鶏モモ肉を1口大にカットして炒め、玉ねぎやほうれん草・小松菜と一緒に炒めれば、サッと彩りも増えた主菜が1品出来上がります。

 

貧血予防のために 〜実践編〜

貧血予防のためには行動も振り返る必要があります。日頃の習慣が栄養摂取に繋がっていますし、そこをおろそかにして貧血の改善や予防はなかなかできません。では、実際にどのようなアクションをしていけばよいでしょうか?

具体例を参考にして頂き、日頃の習慣を見直してみてください。

食事をアップグレード

鉄を取るための食事、吸収を良くするための食事を意識したメニューのレパートリーを作りましょう。先ほどご紹介した鉄を多く含む食材を例に、毎食1品を目標に作っていくとことをおススメめしています。

ただし、バランスの取れた食事が取れたとしても、吸収されずに便として流れてしまっては元も子もありません。食べた物が腸から血液にしっかり吸収されるようにすることも大切な要素です。

また、非ヘム鉄はビタミンCなどによって吸収率が上がります。食事の量が多すぎたり消化に負担がかかる資質や香辛料が多いのもよくないので、“食べ方”にも気をつけてみてください。

消費エネルギーに見合うエネルギー量が取れているか?体重の変動や競技のパフォーマンス(以前の練習記録と比較したりし)を確認しながら、エネルギー量を調整しましょう。また、消費エネルギー量の把握には管理栄養士などの専門家に相談して計算してもらったり、スマートウォッチ等のデバイスを活用して概算を測定することも1つの方法ですね。

《Check》
✔️ 鉄を多く含むメニューが含まれている
✔️ 食事量が多すぎない
✔️ 消化に負担のかかる脂質や香辛料を摂りすぎていない
✔️ ゆっくり&しっかり噛んで食べている

睡眠をより良く

体の修復・成長に欠かせないのが睡眠。睡眠中には修復・成長を促す成長ホルモンが分泌され、1日に分泌される量の80%近くが睡眠時間の初期(ノンレム睡眠中)に分泌されます。ノンレム睡眠をしっかりと摂るには『寝る前の準備』が全てを決めます。しっかり眠れるようにワンアクション起こして睡眠の質を高め、リカバリー・成長を促しましょう!

《Check》
✔️ 就寝直前に液晶画面を凝視しない
✔️ お風呂(シャワー)で体を温める
✔️ 遅い時間に激しいランニングをしない (軽いジョギングならOK)
✔️ カフェインを摂らない(できれば夕方から)

足に優しいランニングを

ランニング時の踏み込みによる溶血を防ぐために、衝撃を和らげることも工夫の1つです。中学生の駅伝全国大会は基本的に芝生のコースを使って開催されているのですが、そこには健康上の配慮も含まれています。シューズの工夫、練習場所工夫など足への衝撃を和らげる工夫は色々と考えられるので、貧血の症状が出た時、あるいは出そうな時には練習環境を変えることも検討してみてください。

《Check》
✔️ JOGでクロカンコースや土手や公園の芝生・土の上を走る
✔️ ソールが厚めでクッション性の高いシューズを履く

ランニングのスケジュールを見直す

食事や睡眠など、日常生活を工夫してみても貧血の進行が止まらない場合は、トレーニングスケジュールの見直しをする必要があります。オーバートレーニングによって『作る』『壊れる』『失う』異常が起こっている可能性が高いです。走力や走歴の個人差があるので、スケジュールを見直す基準のようなものは明記できませんが、しばらくJOG中心のメニューにしてみたり、ポイント練習の負荷を落とすなどの工夫は積極的に行うようにしてみてください。体幹トレーニングなど走るメニュー以外であれば逆に積極的に行っても構いません。この”貧血リハビリメニュー”が自分の弱点と向きあう良いきかっけになって、結果的に走力アップに繋がる可能性もあります。

《Check》
✔️ JOGの距離、ポイント練の負荷(スピードと距離)を落とす(まずは2週間)
✔️ その分を体幹トレーニングなどの補強で補う
✔️ 食事アップグレードは同時並行で行う

サプリメント・鉄剤(フェジン)は最終手段として

貧血対策でつい頼ってしまいがちなのがサプリメントです。鉄は食事から摂取しにくいので、サプリメントで補給したくなりますが、自己判断によって食品以外で鉄を補給することはあまりお勧めしていません。

深刻な貧血状態でない限り、これまでご紹介してきた食事・ランニングなどの改善アクションを継続できれば、日常生活の中でも改善することはできます。改善には順序があり、鉄の補給量の増加→トランスフェリン(血清鉄)増加→ヘモグロビン濃度の増加→フェリチン(貯蔵鉄)の増加→貧血の改善という流れをたどっていきます。ところが、サプリメントや鉄剤を不適切に使用すると、この段階を飛び越えてフェリチンやヘモグロビンが急増することがあります。数字上は貧血が改善したように思われますが、人間の自然な生理反応を無視するような形になるので、体に無理がかかっていることは明白。一時的に良くても、どこかでツケが回ってきても嫌とは言えませんよね。

貧血がひどい場合、また血液検査で異常値が見つかった場合のみ、治療目的として医師からの処方があって初めて鉄のサプリメント等の使用を検討します。鉄剤等が“万能薬”のような働きをしてくれるとは限らず、胃腸障害が起こりやすくなり、飲み過ぎた場合は鉄過剰による肝臓障害等のデメリットもあります。

そもそも論になりますが、「大会まで時間がない…」という状態にならないよう、日頃の食事、練習内容の調整、そして定期的な血液検査で体のメンテナンスを行うようにしていきましょう。

《Check》
✔️ 自己判断で安易にサプリメントや鉄剤に頼らない
✔️ 早期発見により対処が大切
✔️ 基本は食事などによる改善を目指す
✔️ 重度の貧血の場合に、治療目的として医師からの指示のもとサプリメントや鉄剤を使用する

 

まとめ

食事はランニングに限らず全ての基本になります。ここをおろそかにはできませんよね。日本陸連が公表している『アスリートの貧血対処7カ条』では、以下のように記しています。ダウンロードもできるので気になる方はぜひ詳しくホームページをみてみてください

  1. 食事で適切に鉄分を摂取
  2. 鉄分の摂り過ぎに注意
  3. 定期的(3~4回/年)な血液検査で状態を確認
  4. 疲れやすい、動けないなどの症状は医師に相談
  5. 貧血の治療は医師と共に
  6. 治療とともに原因を検索
  7. 安易な鉄剤注射は体調悪化の元

体の中の変化は見えず、その変化のスピードも徐々に進むもの。普段の生活の中でその変化を見つけ出すのはとても難しく、貧血を疑う頃には手遅れになっていることもあります。貧血になってしまうと、元に戻すには数か月かかるため、目標としていた大会に間に合わない可能性が大きくなります。当たり前のようなバランスの取れた食事、トレーニング量に見合った休養、これらのバランスが整えっていたとしてもズレがないかの検査を定期的に行うことが、貧血を防ぐ近道になるでしょう。

貧血に関しての悩みは私もよく相談されますが、必ず食事内容の見直しから始めます。安易な方法に頼らず、基本的なことを当たり前にやっていきましょう!貧血で悩むランナーが少しでも減ることを祈っています!

August 7, 2019/栄養・サプリメント/