給水『徹底解説』!
運動中の水分摂取を効率的に行うための理論と実践

「運動中は水を飲むな!」

と言われたのは今は昔の話・・・

ところが、大昔の話というわけではなく、ほんの20年前にはまだ残っていた悪しき習慣&間違ったスポーツ科学でした。そう考えると、昨日の常識が今日の非常識になってしまうことは今後も起きるかもしれませんね。

今回のテーマである『給水』は非常に奥が深いテーマで、正しく理解しないと効果的な水分補給にはなりません。水分補給が大事だということはさすがに認知されてきましたが、「何を飲むべきか?どれだけ飲むべきか?どんなタイミングで飲むか?」など、その理由や正しい方法ってちゃんと覚えていらっしゃいますか?

給水の工夫によって、パフォーマンスがより上がるケースもたくさんあります!正しい知識をきちんと得て、実践し、安全で結果も残るランニングが良いですよね。

今回は給水『徹底解説』ということで、給水にまつわる様々なお話しをしていきたいと思います。

 

水分補給(給水)の意味

なぜ給水が大切か?

ランニングをしたりして身体を動かすと、熱が生まれて身体は熱くなります。大抵の場合、汗が流れて「運動してるな~」という実感が湧いてきますよね?気持ちよく、そして長くランニングができるのも私の高精細な身体のおかげなのです。

軽いジョギングでも代謝の理論上は5~7分に1℃体温を上昇させるだけの熱が生まれます。しかし、実際は30分、1時間と走っても体温が急に上がることは起こりません。何故起こらないかと言うと、ヒトの身体はあらゆる手段を講じて『熱を逃がして』いるのです。

その主な熱を逃す方法として

  • 冷たいものに熱を渡して冷やす(伝熱)
  • 汗の蒸発の際に熱を吸収させる(吸熱)

の2通りがあります。前者は身体よりも冷たい外気や衣服などに熱を渡すことで自身の熱を逃していきます。しかし、外部の温度の方が高ければ逆効果でヒト自身に伝わってきてしまいます。夏の猛暑日のように外気温が36度以上になったりすると、この機能は破綻してしまいます。そのような時に発汗機能がフル活動します。

汗が蒸発する=水から気体に変化する際には、大量のエネルギー(熱)が必要となります。料理でお湯を沸かす時を思い浮かべて頂くと、分かりやすいと思います。ガスの火からエネルギーをもらって水が沸騰し、水蒸気に形を変えて蒸発していきます。ヒトの発汗ではガスの火が運動などで発生した熱と同じように利用されて、体温が一定範囲内で維持されます。

発汗をすることで効果的に熱を逃がすことができますがその反面、とても貴重な体内の水分を失っていることも意味します。その発汗による損失を補うために、水分補給が欠かせないのです。

マラソンでのレース後半、エネルギーの補給がなくても基本的には健康や生命の危機にまでに陥ることはありません。それは脂肪という膨大なエネルギーが体内に備わっているためです。しかし、水分補給が十分に行われない場合は熱中症・熱射病を始めとした生命の危機に見舞われるリスクがあります。それだけ、体内の水分はヒトにとっては大切なもので、水分補給の重要性を考えることができます。

発汗によって何を失うか?

水分補給の基本的な考え方は「発汗や呼吸で失った『モノ』を取り戻す」ということ。

文字にしてみると非常にシンプルかつ当たり前のことですが、このことはきちんと理解できていますか?当たり前すぎて意識していないのかもしれませんが、この観点が欠けていると逆効果になることもあるので、改めてこの基本的な理解は押さえておきましょう。

具体的に発汗でどんなものを失っているのでしょうか?汗の99%は水分。そもそも汗はそれが乾くことで熱を奪って体温を下げるため、水分であることに大きな意味があります。では残りの 1%はなにかというと、1%のほとんどが塩分、つまりナトリウムです。垂れてきた汗が口に入った時、しょっぱい味がするのはこのためですね。

それ以外にもナトリウム以外のミネラル(カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄など)老廃物(乳酸、尿素など)も含まれています。これらを失うことで生じるミネラルバランスの崩れは、体に様々な不調を招きます。給水は基本的に「水分」と「ナトリウム(塩分)」を摂取することが目的ですが、これらのミネラルに関しても意識しながら、給水、または食事から補うことを行っていきたいですね。

健康にもパフォーマンスにもプラスに

効果的な水分補給で脱水が抑えることで体内の血液循環が正常に保たれるため、栄養素・老廃物の循環が適切に行われます。走っている時、なるべくこの状態を継続させることで、自分の持つ潜在的なパフォーマンスを最大限引き出すことができます。

しかし、この水分補給は「これくらいだろう。」と自分の“勘”で最適にするのはとても難しいことです。これからお伝えする要点をしっかりと抑え、本番のレースに向けて“本当の勘”を作りあげていって欲しいです!

 

水分補給(給水)には何を飲めばいいか?

給水選びの際に大事な視点を上げると

(1)給水の目的は?
(2)何が含まれているか?
(3)どれくらい吸収してくれるか?
(4)どれくらい飲めばよいか?

の4つに分けられます。まずは、「何のための給水なのか?」目的を明確にしておくことが大事です。そして、失ったものを補うという基本の考え方から、「何が含まれてるか?」を考えていきます。それだけではなく、「どれくらい吸収してくれるか?」「どれくらい飲めばよいか?」といった視点も考える必要があります。ドリンクに様々なミネラルが含まれていたとしても、それがきちんと体に吸収されなければ意味がありません。そして、多過ぎても、少な過ぎてもいけないというのが水分補給のとても難しいところです。ですが、いつもの練習の時に“ある工夫”をするだけで最適な補給量の目安が見えてきます。

実際にどんな給水すべきか?詳しく見ていきましょう。

給水の目的は?

大きく分けて2つの目的があります。

1つが電解質を含めた『水分補給』。そしてもう1つが、『エネルギー補給』です。

その名の通り、水分補給が目的ではあるのですが、ただ単に”水”を取っていては不十分なのです。先ほども申し上げた水分補給の基本的な考え方、覚えていらっしゃいますか?

発汗や呼吸で失った『モノ』を取り戻す」

そうです。失った『モノ』をしっかりと理解しておくことからスタートします。汗は99%が水分で残り1%がミネラル、主にナトリウムでしたね。通常の水道水・ミネラルウォーターでは、この『ナトリウム』が不足してしまいますので、適量を含んだ水分、いわゆるスポーツドリンクを飲む必要性が生まれます。

また、水分やミネラルを失うとともに、走ることで蓄えていたエネルギーも失っていきます。そのため、水分に糖分も一緒に含むことで、パフォーマンスをより支えていくことができます。

エネルギー補給としては、1時間以上の長時間の運動時には有効になってきます。スポーツドリンクに含まれる糖分は、このエネルギー補給の役割としても十分な量を含んでいます。糖分濃度が比較的濃い6~8%のスポーツドリンクを摂取することで長時間の運動時のパフォーマンス改善が期待できるというレビューもあります。

マラソンのような持久系スポーツであれば動き続ける中で給水しますが、スポーツによっては休憩中に給水をしてまた動き出すというものも多いものです。スポーツ種目によって給水の場面はだいぶ違うので、それを加味して『水部補給』『エネルギー補給』の使い分けられるとなお良いのかもしれません。

何が含まれているか?

水分補給の目的が明確になったところで、飲むものについて考えていきます。

最近のスポーツドリンクにはしっかり含有量が記載されています。何が含まれているか?他のスポーツドリンクとの違いは何か?は商品表示を見れば一目瞭然ですね。スポーツドリンクの売り上げ上位4種類とお茶を比べてみようと思います(成分は各社のHPより参照)

成分を見るとそれぞれの特徴が出ているのがわかりますね。ドリンク中に含まれる食塩相当(ナトリウム)の量は通常の清涼飲料水に比べると多く含まれるので、スポーツドリンクは「水分」と「ナトリウム」を補うために作られたドリンクと考えられます。配合されている原材料には、各社の差別化としてミネラル以外にも加えてあるものも。好み(飲みやすさ)や相性(飲んだ時のお腹の反応)で考えていくといいですね。

”スポーツドリンク”だからと過信し過ぎず、きちんと目的と合致するか?ラベルを確認して取るようにしましょう。

どれくらい吸収してくれるか?

給水は“身体の中”にしっかりと吸収され、ようやく水分補給ができたと言えるようになります。食べ物を食べた時と同じで、口から胃~小腸~大腸はまだ人にとっては“外界”で、これらの消化管の壁をすり抜け血管に入り込むことで身体の中に吸収された状態になります。この吸収の段階は大きく2つのステップがあり、それらの視点で給水をすることが大切になります。

1つが、胃から小腸への『排出』。専門的には胃内容排出速度(GER:Gastric Emptying Rate)と言います。食べた物はその量や、消化のしやすさ、温度、そしてその人の運動状態(運動)、周りの環境状態など、様々な要因によって排出速度がコントロールされています。

中でも、この仕組みには糖質の濃度が深く関係してます。糖質は『エネルギー補給』としてだけなく、水分補給の面でも『至適水分領域』という役割も果たします。至適水分領域とは、水分の移動が速やかに行われる糖分濃度の範囲とされ、4~8%の糖分濃度がその領域とされます。基本的に糖分の濃度が高くなるほど、胃から小腸への移動が遅くなります。そのため、『水分補給』『エネルギー補給』のどちらに比重を置くかによって、スポーツドリンクの選び方がかわってきますね。一般的にスポーツドリンクの糖分濃度もこの範囲内で設計されているものが多いですね。

もう1つが、小腸・大腸から血管内への『吸収』。この吸収の仕組みは様々で、血管を染み込んでいく方法や、ある物質だけが通ることのできる“関所”があります。糖分(グルコース)とナトリウムはとても相性がよく、両者が揃っているとこの“関所”(SGLT1)を優遇されるような形でスイスイと通っていくことができます。スポーツドリンクに糖分が含まれるのは、この仕組みがあるが故です。

その中でも『ハイポトニック』という設計をしたスポーツドリンクが運動中の水分補給に適しています。これは糖分などの含有量を少なめにすることでヒトの体液(血液)の浸透圧よりも薄く作り、水分などの吸収がよりスピーディーすることができます。

浸透圧を非常に簡単に説明すると「水分を引っ張る力」のことだと思ってください。腸内の水分よりも体液側の浸透圧が高いことで、体液側に水分が引っ張られる、つまり浸透圧によって吸収されやすくなるのです。糖分の濃度(浸透圧)が高いジュースなどの場合はこのような仕組みが起こらず、運動時の給水には不向きになってしまいます。

どれくらい飲めばよいか?

ここまで来ると飲むものはほぼ決まってきます。残りは実際に「どれくらい飲むか?」。

飲む量はその時の運動条件によって最適な量が異なってきます。通常のトレーニングでの発汗量は、1時間当たり0.5~1.5Lとされていますが、多い時には3Lに上るときもあります。そのため、その時の発汗量に合わせて給水量を調節する必要があります。そのために、普段のランニングで運動前後の体重を測定して発汗量を計算します。以下がその計算式になります。

先述していました“ある工夫”とはこのことで、発汗量には個人間差がとても大きくなるためです。少し手間はかかりますが、普段から計っておくことで、「この汗のかき方なら、これくらいだな!」という”本当の勘”がわかってきます。結局はコンディションが随時変化するレース中の自己判断にゆだねられるので、この感覚を磨いておくことがパフォーマンスを最大限に引き上げることにつながってきます!

また、運動中だけでなく、運動『前』『後』、全部で3段階で水分補給をすることでパフォーマンスを最大限に引き上げることができます。実際にどのような水分補給をすればよいかは、この後、シーン別でお伝え致します。

経口補水液

ここまで『飲み方』目線でお伝えしてきましたが、一般的なスポーツドリンク以外に用いられているものもご説明していきたいと思います。

近年『経口補水液』がマラソンシーンでも多く見受けられるようになってきました。薬局やドラッグストアなどでも販売されているため、聞いたことがある、飲んだことがあるという方も少なくないでしょう。

上述したスポーツドリンクと混同されることもありますが、経口補水液とは”飲む点滴”とも言われます。体液と同じ浸透圧(アイソトニック)に設計がされているため、ナトリウムなどの電解質をゆっくり吸収させていきます。また、熱中症や下痢などの起こした際の特別用途食品として開発されています。特別用途食品とは、乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行うものとされています。そのため、熱中症になった場合を除き、基本的にはランニングシーンで経口補水液を飲む必要性はありません。

マラソン前に経口補水液を飲まれる方を見かけることが多いですが、日常的な状態でナトリウムが足りないということは少ないので、水・麦茶・スポーツドリンクでも十分に水分補給の役割を果たしてくれます。

高濃度エネルギードリンク

近年、マラソンの世界記録が劇的に更新されていますが、それに一役買っている革新的なドリンクが注目を集めています。これまでのスポーツドリンクは運動によって失われた水分やミネラル分を補給するものという認識で作られてきましたが、それだけでなく、運動によって消費されたエネルギーを給水で補うということを目的に開発されたドリンクが登場しました。

ただ、このようなドリンク(またはジェルなど)は給水にはデメリットを生じさせます。水分の吸収には最適な糖分やナトリウムの濃度があるため、基準よりも濃い濃度の場合は吸収に時間を要してしまいます。そのため、ジェルなどによるエネルギー補給と水分補給は別途に考えて行う必要があります。

 

水分補給(給水)のポイント

トレーニング・レース前の水分補給

レース前は体内に水分が十分に蓄えられた状態にしておくことがベストです。スタート前から発汗による脱水がない限りはミネラルの不足になることはないので、水や麦茶といったものでも十分に間に合います。具体的にはスタート3~4時間前に500ml前後を飲むようにして、充足して余分になった分をスタート直前のトイレで済ませられるといいですね。普段、意識的に水分補給をしていない方はこの量では足りない場合もあります。「トイレの頻度が2~3時間に1度あるか?」「薄黄色の尿が出るか?」といった状態を数日前からチェックしておくことも大事な準備ですね。

トレーニング・レース中の水分補給

走っている最中は給水の機会・選択がどうしても制限されてしまいます。多くのマラソン大会では『水のみ』『水とスポーツドリンク』の2パターンでエイド(給水所)を設けています。水分補給として水を選択してしまうと汗によって失ったミネラルが補えず、逆に脱水を進めてしまう恐れもあります。可能な限り、エイドではスポーツドリンクを取るようにしましょう。飲む量はその方の個人差、また気候などのコンディションにも左右されます。これも先ほど申し上げたように、日頃のランニングや事前の大会にて“本当の勘”を作っておくことが大事になります。体重測定によって客観的にした数値と、当日の汗のかき方からの主観をうまく調和させて戦略的に給水を取れるようにしましょう!

レースの終盤になると、どうしても水しか摂れない時もあります。そのような場合は、給食の中から塩分と糖分の摂れる梅干しや飴、バナナと一緒に水を飲むと”即席スポーツドリンク”を作ることができます。ただ、これらを食品で摂るたことで消化吸収が負担になるので、食べ過ぎないように気をつけましょう。

トレーニング・レース後の水分補給

レース後は脱水状態から素早く回復するために、なるべく早く給水を取るようにしましょう。その際も、“がぶ飲み”はせずに、10~15分に一口ずつ、こまめに取るようにしましょう。正常な血液循環に戻ることで、栄養素や疲労物質の循環が良くなり、リカバリーを促すことができます。

目安となる量は、脱水によって減った体重と同等の量がよいでしょう。夏場のように走った後もなかなか冷めない時には、それよりも25~50%増しの量を補給するといいですね。例えば、体重60㎏の方が2%の脱水状態でランニングを終えた場合、1.2Lの水分補給が必要となってきます。

冬場の水分補給

冬場でも見た目は汗をかいていなくても、みるみるうちに脱水が進行しています。マラソン大会を走った後、シャツなどに汗の紋様として塩が付いていた経験などはないでしょうか?これも汗をかいている証拠ですね。また、冷たく乾燥した空気を吸って気道で加湿をするため、呼吸からの水分喪失も増えます。その他にも寒さによる利尿促進、冷たくて控えるなど、脱水傾向になりがちになります。

冬場でもレースに似たコンディションで発汗量を測定し、どれくらいの量を飲めばよいのかを確認してから大事なレースに臨むようにしていきましょう。それが、レース中の腹痛・トイレアクシデントの予防にもつながっていきます。

夏場の水分補給

夏場のランニングでは発汗量がとても多くなります。暑さに慣れてくる(暑熱順化)してくると汗の量は増えてきますので、意識的に給水の量を増やしていくことが大事になってきます。一度に飲める量にも限りがありますので、10~15分毎に200ml前後を補給できると理想的です。

また、発汗量が増えることに伴い、ナトリウムの喪失も増加します。1Lの発汗によってナトリウムが2.3~3.4g失われるとされています。給水によって摂れるナトリウムの量は浸透圧の関係から上限があり、汗によって失われる量を補いきれない場合も出てきます。その状態で水分補給を継続していると、逆に体内のナトリウム濃度が薄まってトイレが近くなったり、酷い場合は水中毒症(低ナトリウム血症)になることもあります。そのため、別途で梅干しなどの食塩を含む食べ物や”電解質タブレット”を取ることも対策の1つですね。

熱を作らない工夫も

特に夏場は発汗量に対して給水できる量に差が生じてしまい、根本的に脱水の改善ができない場合も出てきます。では、その場合は割り切るしかないのでしょうか?

給水で補うだけでなく、元の熱を発生させない工夫をすることで発汗量を抑えるアプローチもあります。これは予防的な観点でのアプローチ方法です。外から熱を貰わないために、帽子を被ったり、日陰の走路を確保したり、黒いウェアを着ない、などの工夫ができます。また、透湿性の高いウェアを着て熱を逃がす工夫もできます。最近では、帽子の内部で気流を作る特殊な形をした帽子が販売されるようになり、うまくギアを活用することで熱の発生を防ぐことができ、水分補給の負担も軽減させることができますね。

”減塩”と”ミネラル補給”は別視点

「ミネラル補給のためなら、減塩をしなくてもいいんじゃない!?」

これは=(イコール)にはならないのです。体内の塩分濃度は常に一定に保たれているため、塩分を溜め込むことはほとんどできません。摂り過ぎてしまえば、ご周知の通り高血圧のリスクが高まり、動脈硬化の進行、生活習慣病につながってしまいます。ランニングを習慣化できているのに、食事が疎かになってしまったら本末転倒ですよね。もちろん、毎食きっちりと”THE 健康食”を揃えようと頑張り過ぎなくても大丈夫です。心の栄養補給もたまに入れながら、メリハリをつけて健康的なランニングサイクルを作っていけると、いつの間にかパフォーマンスが良くなっているかもしれません!?

水分補給(給水)の注意点

水中毒とは

水中毒とは、水分の摂り過ぎによって体内のナトリウム濃度が薄まること(低ナトリウム血症)で生じる症状を指します。軽度の場合は症状がないものの、重症化するに従って倦怠感・吐き気・こむら返り(筋肉が攣る)・肺水腫(肺に水が逆流し、溺れているような状態になる)・脳浮腫・呼吸困難、最終的に死に至る恐れもあります。

最近では熱中症だけでなく、水分の取り過ぎによる水中毒(低ナトリウム血症)になる方が多くなっていると言われています。これまでお伝えしてきたように、適切な水分補給を行っていくことがランニング時には特に大切になります。何事も”バランス”が大事ですね。

水負債とは

「水負債」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?最近はめっきり使われなくなった言葉ですが、おそらく誤解を招くということで意図的に使わなくなった言葉のように思えます。

水負債とは運動によって発汗を起こすことで体が水分不足になっている状態の事を言います。給水だけでは補いきれないのは上述の通りですが、体内の水分バランスが崩れた途端に体が機能停止するかといえばもちろんそんなことはなく、水が足りていなくても”ある程度”は動いたり運動したりすることは可能です。

どれくらい可能か?というと個人差がとても大きいものなので、水分不足になったらすぐに苦しくなる人もいれば、めちゃくちゃ汗をかいているのに平気で飄々と走る人もいます。要するに体の中に水が足りなくなっかりとしても、我慢できる人とすぐに苦しくなる人がいて、その違いは何かというと水分不足の状態に耐えられる能力=水負債に耐える能力というわけです。

なぜこの言葉が使われなくなったかというと、理由は簡単ですね。水負債を高めるために水分補給せずにレーニングしようという発想に繋がってしまったからです。かつての常識「運動中に水分はとるな」ですね。そういった経緯があるため、水負債という考え方はすっかり影を潜めてしまいました。事実、練習中に水分摂取を制限することで暑熱下で有利に機能する、という報告はないとされています。

じゃぁ、水負債能力を高めなければいけない!と考えるかもしれませんが、しっかり給水して良いトレーニングをしっかりこなすということの方がよほど大事で、カラダのためにも大事なことです。給水を我慢しよう〜なんて考えずに、ちゃんとした水分補給をして下さいね。

 

水は生きていくための源

意外に見落とされがちな水分補給。身近なものではありますが、奥深いものでもあります。

今回お伝えしてきた内容は、しっかりと理解ができれば夏場の汗をかく日、下痢や嘔吐で体調を崩した日、といった普段の生活の中でも応用させることが可能になります。体の中で最も含まれる成分の水分。今一度、自分の生活の中でどれだけ意識して取れているか?見直す機会になれると、とても嬉しいです。

 

September 2, 2019/栄養・サプリメント/