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ランニング障害や足の痛みの治療に有効なインソール
足底板療法(そくていばんりょうほう)について

ランニング障害や足の痛みに悩む方から「どうしたら早く治りますか?」「痛みが引くまでにどれくらいかかりますか?」と聞かれることがあります。誰もが望んで怪我をするわけではないですし、早く治りたいと考えるのは当然の心情。しかし、どうしても痛みが引くまでに必要な時間もあるので、僕は怪我の程度を見ながら丁寧に説明するようにしています。

それでもレースが控えているからとか、仕事に穴を開けられないからという理由など、どうしても早く治したいという事情を打ち明けられると、何かできないかなとずっと考えていた時期がありました。そんな時に出会ったのが今回ご紹介する「足底板療法(そくていばんりょうほう)」です。まだまだ聞きなれない言葉かもしれませんが、理論がとてもしっかりしていて、僕は足に関わる痛みを最短最速で治すにはマストアイテムだと思っています。

今回はそんな「足底板療法」について色々な観点から説明してきたいと思います。このサイトにたどり着いた方は、「足底版療法」のことについて何かしら疑問に思っていたり、気になったりしているのではないかなと思います。何かしらのヒントになったら嬉しいですね!

足底板療法とは(1分でわかる足底板療法)

足底板療法とは足底板(インソール)を用いて足のアライメントを合わせることで体の機能回復を目指した治療法のことである

アライメントとは足の骨の位置関係のことであり、正しい状態になっていないと様々なトラブルが起きやすい

多くのランニング障害は体重がかかった状態で発生しているため、非荷重状態で治療していても解決しきらないことが多い

ランナーの90%は過回内足の状態にあると言われており、かかとの骨が内側に倒れて土踏まずが潰れることを繰り返している

インソールにはかかとの骨を正常な位置にもどし、土踏まずを持ち上げる作用がある

インソールにはフルオーダー、カスタムメイド、既製品など大きく分けて3種類存在するがそれぞれの特徴を踏まえた上で、自分に合ったものを選ぶのが良い

そもそもインソールって何?

インソールとは別名「足底板(そくていばん)」ともいい、シューズの内側に敷いて使用するものです。シューズの中にはもともと足の保護や履き心地の向上のために取り外しが可能な「中敷」が敷かれているものもあるのでイメージするのはそんなに難しくないと思っています。シューズの中に敷かれているアレ、分かりますよね?

一般的に中敷と呼ばれるものは高い機能性があるわけではなく、補助的な意味合いが強いので、普通はあまり気に留めることはないでしょう。それに対して「インソール」はただの中敷とは全く別物。硬さや角度、沈み込みなど色々な機能が備わっていて、それを使うことによって地面と接する足部機能の回復を補助してくれるとても優れたものです。医療用として登録されたものもあるくらいなので、その機能は決して僕の主観的なものではありませんよ。

インソール(足底板)を用いた治療とは?

このようなインソールを用いた治療法のことを「足底板療法(そくていばんりょうほう)」といいます。機能性の高いインソールが主に足首から下の骨の配列(以下、アライメント)を修正し、足の機能を取り戻してくれます。足部はまさに体の土台!足の機能が正常化することで全身が整い、様々な痛みを改善へと導くということはイメージしやすいのではないでしょうか。

インソールは足をスタートにして膝も含めた全身の動きを調整するので、スムーズな動きを取り戻すことができますし、結果的に関節や筋肉への過度なストレスも緩和します。足底板療法の対象となる具体的な障害としては、主に外反母趾や扁平足障害などの足の痛み、関節症やスポーツ障害、ランニング障害などによる膝の痛みなど多岐に渡ります。

また、足の機能が正常化することで、「痛み」の改善だけではなく、「無駄な動き」も改善され、スポーツパフォーマンスが向上することにもつながります。日常生活をより楽に過ごせると言うことは言うまでもありませんね。

インソール(足底板)の重要性

アライメント不良とランニング障害の関係

では、インソールには具体的にどういった効果があるのでしょうか?

足の痛みの場合、そのほとんどは体重がかかった状態(以下、荷重下)で発生します。「歩くと痛む」「走ると痛む」「朝一の数歩が痛む」など全て荷重下。つまり、足に体重をかけることによって足の骨の配列に何らかの異常が起こり、本来なら加わるべきではない力(ストレス)が足に加わった結果、痛みが現れているのです。

骨の配列が崩れることを「アライメント不良」と言いますが、インソールにはそういったアライメントを整えてくれる機能があります。アライメントの崩れとランニング障害は切っても切り離せない関係であり、仮にアライメントを整えずにランニング障害として出ている痛みが消えたとしても、また再発してしまう可能性が高いです。

その一方で接骨院や鍼灸院などで受ける治療は、ほとんどの場合がベッドに寝た状態で行われます。つまり、足には体重がかかっていない状態(以下、非荷重)ということです。ベッドの上で痛めた場所に電気を流したり、温めたり、マッサージで筋肉を緩めたり一見すると有効そうですが、治療後に立ち上がって足に体重をかけた瞬間に足のアライメントが崩れてしまったらどうなるでしょうか?こういったことが治療期間を長引かせたり、すぐに再発してしまうことにつながっているのです。

このように、インソールによって足部のアライメントを整えるということはとても大切です。もちろんインソールを使わなくても治療の技術が高い施術者に診てもらったり、筋力強化を同時に行うことでアライメントの崩れを防ぐこともできます。また、インソールを使わずとも痛みが引いていくケースもたくさんあります。ただ、再発を防ぎ、治療を助け、より早く治癒に向かわせるにはインソールを使った足底板療法を併用することを強くお勧めしています。

冒頭で最短最速で痛みを改善させるのにインソールはマストアイテムとお伝えしましたよね。大事なことは荷重下で何が起きているか?荷重下で足のストレス減らすためにどういう方法があるか?です。適切なインソールを選び、アライメント不良を改善させることはとても大事なことです。荷重下でアライメント不良を改善させることは治療における大事なポイントだということをぜひ覚えておきましょう。

足のアライメントについて

アライメントとは骨配列(骨の位置関係)のことを言います。

それぞれの骨が本来あるべき正しい位置にあれば「アライメントが良い(整っている)」と評価されます。逆に骨の位置が本来あるべき位置になくそれぞれの位置関係が崩れていれば「アライメントが悪い(崩れている)」という意味になります。

では良いアライメントについてもう少し具体的に考えてみましょう。

足首からの骨の配列は下記の写真の通りです。

【足部の骨の配列】

これらの骨がお互いに正しい位置関係にあれば良い(正しい)アライメントとなります。

では逆にアライメントが悪い(崩れている)とはどういうことでしょうか?「それぞれが本来あるべき位置関係にない」と上述しましたが、骨折や脱臼のように、大きく位置関係が崩れるわけではなく、噛み合わせが悪くなったと考えるのが一番適切です。見た目にわかるものもあれば、一見すると何も分からないものもあります。それでも体へジワジワと影響を与えていることは間違いありません。

こちらの写真をご覧ください。

【アライメント異常】

一目見ただけで骨が正常な位置関係にないことがすぐにわかりますよね。上記の写真の足は骨折も脱臼もしていません。これが、いわゆるアライメント不良です。(かなり酷いアライメント不良ですが・・・)

アライメント不良の種類も色々ありますが、ランニング障害に悩む方の足の約90%は「過回内足(かかいないそく)と呼ばれる状態です。別名オーバープロネーション。かかとの骨が内側に倒れてしまっている状態です。ランニングに関する情報は世の中にかなり溢れているので、こちらの言葉の方がもしかしたら聞き慣れているかもしれませんね。

【足部の観察】

上記の写真は全て右足です。このように、過回内足(オーバープロネーション)がランニング障害の元凶なのです。90%の方がこの状態になっているとお伝えしましたが、もしかしたらその数字に疑問を抱いている方もいるかもしれませんね。自分のシューズは外側がすり減っているから過回内足じゃない!と。でもこちらの映像をご覧ください。

足の外側から接地している方でも、ランニング動作の中で瞬間的に過回内になる場面ができていることが多いです。足に体重がかかった瞬間に足の土踏まずが潰れ、かかとの骨が内側に倒れてしまってますよね。土踏まずは足への衝撃緩衝のための重要な機構です。土踏まずが過回内によってつぶれたり、扁平足(慢性的に土踏まずが低下した状態)であれば地面からの衝撃を直接的に受けることになるので様々な足の痛みが引き起こされるリスクが高まりまってしまいます。

インソール(足底板)によるアライメント矯正

ではインソールはいったい何をしてくれるのでしょうか?

簡単に言ってしまえば過回内(オーバープロネーション)の矯正をしてくれます。過回内はかかとの骨が内側に倒れてしまい、土踏まずが低下してしまっています。インソールのヒールカップと呼ばれる部分がかかと全体を包み安定化させ、アーチサポート部分が土踏まずを持ち上げてくれます。

【インソールの各部位の名称】

 

かかとの骨が直立して安定すれば、アライメントが良い状態に保たれます。また、土踏まずが持ち上がることで衝撃緩衝作用が働きます。このようにインソールを使用することで荷重下での問題が解決できます。 非荷重下ではできない矯正をインソールがしてくれるというわけです。

オススメのインソール(足底板)

現在インソールは山ほど種類があり飽和状態と言えます。専門家のような知識がないと自分の足に最適なインソール選びは難しくなっています。ひとまず市販のインソールを買ったものの、効果がいまいち実感できていない方は少なくありません。インソールには大きく分けて次の3種類があります。

フルオーダー:足型をとって作る世界に1足のインソール
カスタムメイド:パーツ貼付などで既製品をカスタムして作るインソール
既製品:現物をそのまま使用するインソール

種類によって値段も違えばインソールの命とも言える矯正力も違います。フルオーダーだと矯正力は申し分ありませんが数万円から10万円を超える物まであり、価格がどうしても上がってしまいます。インソールとセットで販売されている靴でしか使用できなんてこともあるので、自分が履きたい靴で使えないことも結構あるんですよね。製作に時間を要するなど高価な割に制約されることが多いのが大きな難点です。

既製品になると千円~数千円と価格はかなりお手頃になりますが、フルオーダーに比べれば矯正力はかなり劣ります。万人向けに作られているので自分の足に合う保証もなく、お手頃という点以外は特筆すべき特徴を挙げるのが難しいですね。症状が軽度だったり、痛みでなく疲労軽減目的で使ってみる分には良いでしょうね。

カスタムメイドは上記2種類の中間です。足の型を細かく計測して作るわけではなく、コンピューターで足部圧などを測った上で、熱によってインソールをその場で形成します。インソール作成に時間がかからず金額もフルオーダーに比べればかなり落ちるので、既製品とフルオーダーのデメリットを解決するためにできたものと言っても良いかもしれませんね。

以上を踏まえたうえで、僕がおすすめするインソールはFormthotics Medical(フォームソティックスメディカル)です。

カスタムメイドタイプも現在ではかなり色々出ていますが、Formthotics Medicalは医療用足部矯正具として治療用に作られた経緯があります。 一般的なカスタムメイドのインソールは足型をその場でとって形を作るのですが、これは使っていくうちに徐々に馴染んでいき形が形成されるという特徴を持っています。足治療先進国のニュージーランドで生まれ、販売実績35年、足専門の医師の足病医が実際の治療で使用しているインソールです。

Formthotics Medical(フォームソティックスメディカル)】

詳しくはフォームソティックス紹介ページをご覧ください。またこちらは医療用品なので、認定資格を持つ人間だけが取り扱いを許されているインソールです。ご希望の方は取り扱い施設一覧より最寄りの店舗を探してみてください。僕に直接連絡をいただいても構いません

まとめ

いかがだったでしょうか?インソールは興味があるけど、どんなものかわからないという方も、多少の解決のヒントになってくれたら嬉しいなと思います。足底板療法はまだまだ日本で浸透しるとは言えませんが、解決のヒントになる可能性は高いです。怪我なくランニングを楽しむアイテムとしてみなさんのそばにインソールがあるといいですね。

May 27, 2019/怪我・故障/

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